市のふるさと納税寄付受け入れ金額 6年度は8億3842万円で歴代2位の多さ 給付型奨学金財源確保の試みも
令和7年5月9日付 7面

陸前高田市の令和6年度ふるさと納税寄付実績がまとまった。金額は8億3842万円と、初めて10億円を突破した5年度と比べると、1億6969万円(16・8%)下回ったものの、歴代2位の受入額となった。主力返礼品のカキやリンゴが気候変動の影響で在庫不足傾向に陥ったが、その分を通年で対応可能な缶詰やメンチカツなどで補い、8億円台に乗せた。給付型奨学金事業の寄付を受け付ける新たな試みも実施した。(高橋 信)
市によると、6年度の月別受入額は12月の4億518万円(前年度比36・1%増)が最多。ふるさと納税は全国的に年末に寄付が集中するため、同月は各自治体で書き入れ時であり、市としては初めて単月で4億円を超えた。年間累計額のほぼ半分を同月のみでカバーする好調ぶりをみせた。
以下、11月1億3241万円(同27・4%増)、10月6242万円(同28・6%増)、9月4873万円(同84・7%減)などと続いた。
一番人気の返礼品であるカキは、高水温を主要因とした成育不良で在庫不足となり、定番のリンゴも高温などの影響で数量を確保しきれなかったという。
一方、堅調だったのは天候に左右されないサバ缶やツナ缶、メンチカツといった加工品。ウニ、イクラなども好調だった。
寄付件数は、前年度比1万4862件(22・0%)減の年間5万2698件。5年度、4年度に次ぐ過去3番目の多さだった。
また6年度は、ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を運営する㈱トラストバンク(本社・東京都)による「ガバメントクラウドファンディング(GCF)」を利用し、給付型奨学金事業に対する寄付の受け付けを実施。目標額1600万円の約2倍となる3176万円を集め、事業の運用費に充当する。
ふるさと納税は、住んでいる自治体以外に寄付すると、税金の還付や控除が受けられる制度。生まれ育った古里などへの貢献、応援ができる仕組みとして創設された。
市は平成20年度に運用を開始。震災後の中断を経て、27年7月に受け付けを再開した。地元の障害者支援施設の利用者が返礼品のこん包・発送作業を担っている。
寄付額は28年度から令和元年度まで、毎年4億円台で推移。2年度以降は毎年、過去最高を更新し、5年度は返礼品のルール厳格化に伴い、年末に加え、制度変更前の昨年9月にも駆け込み需要があり、10億810万円まで伸ばした。
納税者が選べる寄付金の使い道は、「子ども支援」「給付型奨学資金事業」「高齢者、障害者支援」など10の分野を設けている。
市商工交流課商工ブランド係の吉田祐也係長は「気候変動の影響を受けた中、返礼品取扱事業者らの努力の結果、8億円台まで寄付を受け入れられたことはありがたいこと。市の貴重な財源でもあり、当市の強みを生かしながらPRしていきたい」と見据える。
年度別の寄付実績は別掲。