チューリップに固い絆誓う オランダとオンライン交流 市民らが地ビールなど囲み(別写真あり)
令和7年5月13日付 7面

陸前高田市民有志らでつくる陸前高田日蘭友好協会(高橋勇樹会長)の日蘭友好交流イベント「ハイネケンパーティー」は11日、高田町の川原川公園内にある「日蘭友好広場」で開かれた。同広場の整備に尽力したオランダ・デンヘルダー市の関係者らとオンラインで結び、互いの地ビールや地酒を囲んで交流。広場に咲くチューリップをめでながら両国の文化などにも理解を深め、今後も固い絆を結んでいこうと誓い合った。(三浦佳恵)
同広場は、東日本大震災による被害に心を痛めたオランダの人々が「被災地に癒やしの空間をつくりたい」と、構想から10年以上をかけて整備。昨年10月に開園し、デンヘルダー市のチューリップ生産者や同市立海外植物園「ホルトゥス・オーファーゼー」の関係者が市民らとともにチューリップの球根を植えた。
国を越えて心を一つに植えた球根は、先月から次々と開花。多彩なチューリップの花々が競演し、市民らの目を楽しませている。
同協会では協会設立1周年を記念し、満開のチューリップをオランダの人々と楽しもうと、今回のイベントを企画。この日はあいにくの曇り空で肌寒くなったが、市内外から世代を超えた約100人が来場した。
会場では、オランダの代表的なビール「ハイネケン」をはじめ、酔仙酒造㈱の日本酒、陸前高田マイクロブルワリーのクラフトビール、㈲神田葡萄園のワイン、ソフトドリンクなどを提供。オランダの伝統菓子「ポッフェルチェ」が振る舞われ、キッチンカーも並んだ。
午後4時には、大型スクリーンを用いたオランダやイタリアなどとのオンライン交流会が始まり、広場整備に携わったメラニー・テーヘルベルフさんが「皆さんとお会いできてうれしい。いつでも陸前高田のことを思っている。今後も友好関係が続き、また皆さんと会えるのを楽しみにしている」とあいさつ。在オランダ日本国大使館の南博大使もあいさつを述べ、日蘭の友好がさらに発展していくよう祈念した。
これに対し、陸前高田からは球根を植える作業に参加した吉田喜重さん(高田小6年)がマイクを握り、「広場に色とりどりのチューリップが咲いた。今度はオランダに見に行きたい。今後もつながりを持ち続けましょう」とオランダの関係者らに呼びかけた。
高橋会長の音頭で乾杯後は、地元の和太鼓三扇会(村上武志会長)が勇壮な太鼓演奏を、米崎町の菊池郷平さん(高田高1年)、里歩さん(高田東中2年)きょうだいが三味線や民謡などを披露。
デンヘルダー市側は、同協会から贈られた酔仙の日本酒を味わいながら、同植物園や広大なチューリップ畑などを紹介。佐々木拓市長は日蘭の友好を願いながら、改めてオランダの関係者らに謝辞を述べた。
吉田さんは「僕が植えたチューリップも咲いてくれて良かったし、オンラインでオランダの皆さんの顔が見られて良かった。もっとチューリップが多く咲く公園になってほしい」と期待を込めた。
高橋会長(47)は「大きなスクリーン越しにオランダや日本の参加者と触れ合うことができ、最高。初めて咲いたチューリップも見られたので、オランダの方々が望んだ形にできたのではないか」と話し、両国の交流継続を誓っていた。