福島の復興を応援 住田高校生徒有志ら ひまわり里親プロジェクトに協力(別写真あり)

▲ 福島の復興を願いながら正門前の花壇に種をまく生徒たち

 住田町の県立住田高校(伊藤治子校長、生徒66人)は、東日本大震災後に福島県で始まった「福島ひまわり里親プロジェクト」に協力している。同プロジェクトは、福島から届いたヒマワリの種を全国の人々が「里親」となって育て、開花後に種を採取して返送する取り組み。同校では9日、生徒有志らが種をまき、福島の〝復興のシンボル〟の開花を願った。震災から14年が経過し、当時を知らない世代が増えて風化も懸念される中、生徒らは被災地に思いを寄せながらヒマワリの成長を見守っていく。(清水辰彦)


 同プロジェクトは震災直後、NPO法人チームふくしまが復興支援活動として立ち上げ。これまで、全国で55万人以上、6000校を超える学校などが参加してきた。
 販売する種の購入者を「里親」とし、育てたヒマワリの種を送り返してもらい、福島に集まった種は県内の希望者に無償で配り、ヒマワリ畑を観光振興に役立てる。全国に送る種のパッケージは、震災で仕事が激減した障害者の作業所に依頼。福島で採れた種の油はバスの燃料に使用されるなど、雇用創出、観光振興、防災教育につながっている。
 プロジェクト協力のきっかけをつくったのは、昨年度「地域みらい留学」で住田高校に入学した椎名琴海さん(2年)=千葉県出身。椎名さんは幼少時から地元・千葉のガールスカウト団体に所属。この団体がプロジェクトに協力している縁で、椎名さんを通じて同校にもヒマワリの種が送られた。
 椎名さんから相談を受けた生徒会が全校生徒に協力を求め、有志でヒマワリを育てていくことが決まった。
 生徒たちは、先月29日に世田米の住民交流拠点施設「まち家世田米駅」で開かれたイベントにも足を運び、来場者に種を配って協力を呼びかけた。
 9日は1~3年生20人が種まきに参加し、学校正門前の花壇に約30個の種を植えた。優しく土をかぶせて水をかけ、太陽に向かって大きく咲く姿を想像しながら、福島復興への思いも込めてたくましく成長するよう願った。
 ヒマワリは7月から8月ごろに開花する見込みで、その後、10月ごろに種を回収して福島へと送る予定。
 椎名さんは「無事に咲かせて福島に送れるよう、しっかり管理して成長を見守りたい」、生徒会長の紺野爽介さん(3年)は「無事に育てて、福島の復興を応援したい。ここを通る人も笑顔になってくれるような花を咲かせたい」と話していた。生徒たちは福島の復興を願いながら、開花を心待ちにしている。