作業保管施設の復旧支援 被災した綾里漁協に対し ウニ漁設備にも独自策
令和7年5月17日付 1面

大船渡市は16日、大規模林野火災で被災した綾里漁業協同組合の作業保管施設(定置網保管施設)などへの復旧支援を明らかにした。解体、撤去費などを含めた総事業費は4億円が見込まれる中、国や県、市が合わせて3億円を補助する。19日(月)の市議会臨時会に、関連事業費を盛り込んだ一般会計補正予算を提出する。市は合わせて、ウニ漁の設備復旧に対しても、独自策で補助することにしている。
作業保管施設は綾里漁港内にあり、鉄骨造で床面積は中2階を含めて約1100平方㍍。電気設備に加え、レールなど荷揚げ設備も備えていた。
今回の補助は、被災物件の解体・撤去、再建及び付帯設備の整備(原形復旧)に対するもの。補助の内訳は、国が2分の1、県と市が各8分の1で、計4分の3となる。
施設復旧を巡っては、先月4日、江藤拓農林水産大臣が綾里地区内などを視察後に支援策を表明。復旧・再建に向けた支援策の特例措置として、綾里漁協の定置網の再導入に対する支援補助割合を従来の2分の1から4分の3に引き上げるほか、漁具保管施設の再整備でも、国による2分の1の補助に加え、県と市の上乗せ補助分計4分の1に対しても、財政措置を適用する方針を示した。
また、市によると、綾里漁協と大船渡市漁協の中で、倉庫や養殖加工機械などの焼失といった被害を受けたのは63組合員で、計5億180万円に上る。ウニ漁への早期再開に向け、両漁協で支援を進めている中、市は保管施設や設備購入に要する費用の3分の2を補助する。
消耗品をはじめ耐用年数が短いものは除き、プレハブ倉庫やウニむき作業用のテント、小型の電動船外機などを想定。予算規模は3500万円で、再建意向などを踏まえ、50組合員程度への支援が見込まれる。
水産業分野では各漁協関係にとどまらず、綾里に設備を構える養殖アワビ事業者が、停電などを受けてアワビ約250万個が斃死したことで4億6652万円の被害を受けた。さらに、給水設備焼損や資材置き場などの全焼による影響は4500万円以上に及ぶ。
農業関係では、農家15戸で農業用施設などが焼損し、被害額は約7709万円。農業用機械の焼損は15戸で計2955万円となっているほか、24戸で鳥獣防護網や電気柵に被害が確認された。