降雨いとわず絆発信 新設統合の大船渡中 開校後初の運動会(別写真あり)

▲ 統合前の旧大船渡中から続くタイヤ取りは三つの学年が入り乱れ白熱

 大船渡市立大船渡中学校(和賀真樹校長、生徒185人)は17日、新設統合後初の運動会を実施した。大船渡、末崎両町から生徒が通う新たな学習環境となった中、生徒らが地域や学年の垣根を超えて一致団結。降りしきる雨もいとわず競技や応援に全力を注ぎ、新設校の絆を熱く発信した。(菅野弘大)

 

 旧大船渡中学校と末崎中学校が統合し、今年4月に誕生した同校。生徒らは、統合前から「生徒交流会」や生徒会リーダー研修会でつながりを深め、本年度は新たな校訓である「心」、生徒会スローガン「開花~はじめの花を咲かせよう~」のもとで学校生活を送っている。
 運動会に向けては、昨年度の冬休みから話し合いを進め、3学期からダンスの練習を実施。春休みには担当係の生徒らがパネルの制作にあたるなど、統合の慌ただしさの中で知恵を絞り、力を合わせた。
 開会式では、大船渡の水平線に浮かぶ太陽に市花のツバキなどを描いたパネルがお披露目された。青組団長の及川由侑斗さん(3年)と赤組団長の佐藤天礼さん(同)が、最後まで全力を尽くすと選手宣誓し、新生・大船渡中として初の運動会の幕開けを告げた。
 各組団の生徒らは、学年の団体種目や全員リレー、応援合戦などで練習の成果を発揮。降り出した雨が徐々に強さを増す中、笑顔を絶やさずに全力で取り組む姿を保護者らに見せた。
 旧大船渡中で恒例だった「タイヤ取り」では、2、3年生が着用する旧大船渡中の緑、旧末崎中の深い青に加え、統合に合わせて新調した1年生着用の青の3色のジャージーが交わり、新設校ならではの光景が広がった。全力ダッシュからタイヤをつかみ、繰り広げられる白熱した奪い合いに、会場は大いに盛り上がった。最終種目の応援合戦は、両組団の趣向に富んだ応援、ダンスのパフォーマンスと、最後まで力を振り絞る生徒らの一生懸命な姿に大きな拍手が送られた。
 閉会式後は、中心となった3年生が記念写真を撮影。ともに活動した仲間と頑張りをねぎらい合ったり、感極まって涙を流す生徒も見られ、忘れられない一生の思い出を胸に刻んだ様子だった。
 生徒会長の松岡孜馬さん(3年)と佐藤一希さん(同)は「雨の中でみんなのやる気もどんどん上がってきて、勝敗はついたが優勝以上の価値あるものを得ることができた。最高の運動会だった」「雨の中だったけど、全員手抜かず楽しんでいたようで、かけがえのないものになった。ここで生まれた各学年の団結力や学年を越えたつながりを今後も大切にしたい」と充実した表情で語った。
 和賀校長は「寒い中でもいい笑顔で一生懸命頑張ってくれた。勝ち負けよりも『頑張る姿を保護者や地域の方々に見せたい』という生徒の思いを届けられたのでは」と頑張りをたたえていた。