復旧・復興へ4億6556万円 市議会臨時会で一般会計補正予算可決 見守り、水産業復旧、宿泊客復興割など

▲ 大規模林野火災の復旧・復興事業を審議する大船渡市議会臨時会

 大船渡市議会臨時会が19日に議場で開かれ、市大規模林野火災の被災者支援策などを盛り込んだ令和7年度一般会計補正予算などを可決した。復旧・復興事業は8事業計4億6556万円で、各地から寄せられた寄付金も活用。建設型応急仮設住宅の入居が始まった中、6月中旬から被災者見守り事業を進める。水産業関連の設備復旧補助や、宿泊客への助成事業「大船渡復興割」など、産業面の再興にも力を入れる。(佐藤 壮)


 議員20人全員が出席。議案は一般会計補正予算と、人事異動で5月に就いた山下浩幸税務課長の市固定資産評価員選任同意の計2件。いずれも、全員賛成で可決された。
 補正予算は、歳入歳出に4億8114万円を追加し、総額は220億6131万円。財源は国庫支出金が1358万円、県支出金が2億9260万円。発災以降に見舞金やふるさと納税で寄せられた支援も生かし、寄付金は5000万円、繰入金は1億2497万円となっている。
 応急仮設住宅入居者の孤立防止を防ぐ被災者見守り・相談支援事業には1500万円を計上。6月中旬から2年間、4人の支援員を配置する。
 主な業務は▽孤立防止等のための見守り▽日常生活上の相談▽関係支援機関へのつなぎ▽コミュニティー支援▽支援団体との調整──とし、新たな環境の中で安心した日常生活を営むことができるよう支援。仮設住宅の維持管理では共有部分の経費を計上した。
 被災した住宅再建時の浄化槽設置に関する補助金交付は、5人槽が39万円で39基、7人槽が47万円で5基、10人槽が66万円で1基となる。
 水産業振興費は、大規模林野火災で被災した綾里漁業協同組合の作業保管施設(定置網保管施設)などに対する国や県と連動した補助率4分の3の復旧支援に加え、ウニ漁の設備復旧に向けた市独自で補助を計上。消耗品をはじめ耐用年数が短いものは除き、プレハブ倉庫やウニむき作業用のテント、小型の電動船外機などで、補助率は3分の2。綾里、大船渡市両漁協を通じて50組合員程度への支援が見込まれる。
 議員からは、同じ水産業振興費でも補助率が違うことを指摘し、ウニ漁に関する設備復旧へのさらなる充実を求める発言も。市側は、過去の台風被害などに対する支援事業を踏まえた補助率であるとし、理解を求めた。また、災害見舞金や個人版ふるさと納税、企業版ふるさと納税による寄付が7億円超に上る中、議員からは迅速で積極的な活用を求める意見も出た。
 鏡や網、竿などに関しては消耗品として補助の対象から外れていることなどを挙げ、「水産のまち」として再検討を促す声も。山岸健悦郎農林水産部長は「引き続き丁寧に実情を把握し、国や県の支援も踏まえながら、漁協と連携して今後も検討を進める」と述べた。
 県の補助制度を活用し、被災した中小企業者に対する施設・設備の復旧支援に関する補助金も交付。補助率は4分の3とする。現段階では、5件程度が見込まれる。
 大船渡復興割事業は、宿泊利用者の減少が指摘される中、市内の宿泊施設を利用する観光客に対し、1泊当たり上限3000円の助成と、飲食店で使用可能な1000円分のクーポン券を配布する。
 利用期間は6月下旬~11月末とするが、宿泊料金の助成額が予算額に達した場合は終了。開始までの間、宿泊事業者から寄せられた意見、要望の反映を検討し、より回復効果が高まる形を目指し、観光PR策との連動も進める。
 現段階では、宿泊予約が集中しやすい土・日、祝日の各前日は対象外とし、すでに予約を済ませた人や、市内在住者は利用できないなどの条件を設ける方針。クーポンに関しては500円券2枚とし、より使いやすい形を目指す。
 市営住宅改修・修繕事業では、被災者が一時的に入居する市営住宅にエアコンを設置する。12戸分を見込む。
 補正予算に盛り込まれた復旧・復興事業は別掲の通り。