四本柱など部材新調 けんか七夕山車 老朽化に伴い修繕作業(別写真あり)

▲ 山車の柱となる木材の加工に協力する連合会メンバー

 陸前高田市気仙町今泉地区の伝統行事「けんか七夕」を主催する同町けんか七夕祭り保存連合会は、8月の本番に向け、老朽化した山車の四本柱や人が乗る足場などを新調している。今年も伝統の〝けんか〟を盛り上げられるよう、メンバーらが手作業で心を込めながら部材を制作。18日は部材の仮組みを行い、以前より頑丈となった山車に、まつりの成功を誓った。(阿部仁志)

 

大人10人がかりで仮組みを行った

 900年の歴史があるとされ、毎年8月7日に開かれるけんか七夕。東日本大震災で今泉が壊滅的な被害を受けた平成23年は、流失せず残った山車1台を運行して伝統をつないだ。その後、企業や団体の支援を受けて山車2台を新造し、現在のまつりで使用している。
 山車は、毎年の運行や山車同士を激突させるけんかで傷むたび、損傷した箇所ごとに新しい部材を作って交換する。今回は、1台の山車で土台の上に建つ柱が老朽化し、割れている所もあって危険なことから、関連する部材を一括して新調することとした。
 同地区コミュニティ推進協議会などの協力のもと、ケヤキ材を用意。上下ある四本柱のうち、下側の柱は1本15㌢角から21㌢角とするなど、各木材を以前よりも一回り太めに加工して耐久性の強化を図った。
 作業は今月上旬から始まり、同連合会メンバーの大工らが毎日地区内の倉庫に通って部材加工に汗を流してきた。
 四本柱とそれぞれを支える柱は、ねじやくぎを用いない木組みの構造で、気仙大工の技も光る。材料は1本100㌔以上にもなり替えが効かず、作業はすべてが一発勝負。参加者は一つ一つの工程に集中して臨んだ。
 18日は、約10人で仮組みを実施。各部材を組み合わせて不具合がないか確かめた一方、メンバー間で山車の組み立て方も共有していた。
 近年、同連合会では人手と運営資金の不足が深刻化しているが、メンバーらは「将来の子どもたちに、けんか七夕を伝えていきたい」「今泉に活気を呼び込みたい」と、心を一つに準備を進める。
 連合会の平野晃部長(45)は「一段と立派な山車になり、うれしい。新しくなった山車で、今年も地域を盛り上げたい」と意気込む。