硬質化した木への対応学ぶ 綾里の火災現場で 消防士らチェーンソー研修(別写真あり)

▲ 林野火災現場でチェーンソーの使用法を学ぶ消防士ら

 陸前高田市の災害ボランティア団体・DRT―JAPAN岩手(伊藤章尋代表)による消防士を対象とするチェーンソー研修会は20日、大船渡市三陸町綾里で始まった。燃えて硬質化した樹木が広がる大規模林野火災の現場で、伐採を通して安全な作業方法を学んだほか、通常の立木との違いも調べ、今後の火災対応にも生かす場とした。
 岩手を含む全国のDRT―JAPAN(DRT)は災害の現場において、機材・重機を用いた倒木処理や道路啓開など、技術面での支援を展開する。
 2月の大規模林野火災発生時、消火にあたった消防職員らは放水に加え、内部まで燃えているとみられる木を伐採する作業にもあたった。チェーンソー研修会も、火災への対応として同日と21日にかけて開くもので、20日の研修会には県内外の消防職員や各地のDRT合わせて30人余りが参加した。
 参加者らはDRTメンバーを講師に、山林所有者の協力のもと被害に遭った樹木の伐採を実際に練習。燃えて黒くなった樹木は硬質化して容易に切ることができない状態であり、木の切り口を実際に触って水分量が少ない状態にあることも確認した。
 現場は危険も伴う斜面であり、講師らは「屈んで切ると避難する際に時間がかかるので、立って作業を」などと、リスクを避けるようアドバイスした。その後は整備や刃の研磨について学ぶ時間も設けられ、常に安全に気を配ったチェーンソーの使用が呼びかけられた。
 県内応援隊として綾里地域で消火活動を行った奥州金ケ崎行政事務組合消防本部の菊地泉さん(37)は、「火災時は実際に木を伐採する場面もあり、内部まで燃えているものも見られた。今後の現場でチェーンソーをよりうまく活用し、住民が安心できる状況をつくっていきたい」と話した。
 伊藤代表は「現場で一番大事なのは、危険な状態で活動しないこと。燃えている木の伐採は必要な技術なので、安全のためにも効率の良い方法を学べたら」と、これからの活動を見据える。