活動も順調に〝芽吹き〟 種から山の彩りプロジェクト 小学生が鉢上げを体験(別写真あり)
令和7年5月28日付 3面

住田町内で採取した広葉樹の種を育て、再び地域の山林に植樹する「種から山の彩りプロジェクト」(なえうぇる)。町と一般社団法人・邑サポート(奈良朋彦代表理事)、同・モアトゥリーズ(東京都)の3者により令和5年秋にスタートしたプロジェクトは2度目の春を迎え、順調に木々が芽吹いている。26日には地元小学生がよる鉢上げを行い、苗の健やかな成長を育った。(清水辰彦)
同プロジェクトは、森づくりを通じた町内外の住民交流による移住者・関係人口の拡大、森林林業に携わる人材増加などを目的とした取り組み。町と邑サポート、モア・トゥリーズは令和5年に「育苗プロジェクトに関する連携協定」を締結し、連携した森林づくりや活動を通じた人材交流の活性化を図っている。
このプロジェクトでは、町民や森づくりに関心のある企業が町内の森林で広葉樹を中心とした種を採取し、イコウェルすみた(世田米)の敷地内に整備した育苗施設で管理。育てた苗は森林組合に植樹用として販売し、町内で植えてもらう。さらに、販売による収益をプロジェクト運営費等に充てることで、地域内での経済循環につなげる。
初年度は、町内保育園児や県外企業が参加し、種山ヶ原森林公園内で種の採取が行われた。今月初めには、5年度に入手した種から育て、森林組合に納品した苗木28本が地域内の森に植えられた。
現在、イコウェルではミズナラやクリ、ヤマモミジなどおよそ20種類を管理している。
26日は邑サポートの主催により、地元学童クラブを利用する小学生が鉢上げを体験した。低学年と高学年に分かれて行われ、このうち1~3年生は15人が参加。
子どもたちは奈良代表理事から説明を受けながら、育苗コンテナからポットに苗を植え替え。苗は関係者が昨秋、町内で採取した種が育ったもので、低学年はミズナラを約140本、高学年はクリなど約180本をそれぞれポットに移した。
順調に育てば今秋か来春に町内で植樹される予定で、佐藤顯文さん(世田米小3年)は「植え替えるのは簡単で、5個ぐらいできて楽しかった。大きく育ってほしい」とたくましく育つよう願いを込めた。
奈良代表理事は「山で拾った種がこうして木になっていくという、子どもたちの経験になっていけば。森づくりは河川のきれいさ、海の生態系につながるということも知ってほしい」と、プロジェクトを通じての学びにも期待を寄せる。