楽しく走り 笑顔広がる 火災復興へ「ファンランイベント」 地域おこし隊員・熊谷さんが企画 約50人参加 五輪選手ら招き初開催(動画、別写真あり)

▲ 東京五輪に出場した伊藤選手を先頭に、ランニングに汗を流す参加者

 大船渡市地域おこし協力隊員で、元箱根駅伝ランナーの熊谷光さん(30)は1日、赤崎町の赤崎グラウンドで「ファンランイベント」を開いた。市大規模林野火災の発生を受けて企画したチャリティーランニングイベント。長距離ランナーとして輝かしい実績を持つ自身のネットワークを生かし、五輪出場選手やユーチューバーを招き、幅広い世代の市民らとともに走る楽しさを共有した。(高橋 信)

 

熊谷 光さん

 小学生からシニアまで市内外の約50人が参加。スペシャルゲストとして東京五輪、オレゴン世界選手権の男子1万㍍代表で、昨年の日本選手権男子5000㍍を制した伊藤達彦選手(27)=Honda=と、元箱根駅伝ランナーで、現在は「ランニング×コメディー」をテーマに活動する人気ユーチューバーのたむじょーさん(28)を招待した。
 雨に見舞われた中、参加者はゲストとともに準備運動やランニングに取り組み、心地よい汗を流した。4チームに分かれ、瞬発力を鍛えるゲームやリレーも繰り広げ、グラウンドに歓声を響かせた。
 トークセッションでは、伊藤選手が「スポーツに限らず、どんな取り組みでも継続が力になる。毎日の積み重ねが大事」とアドバイス。たむじょーさんは「大変な時、不調な時でもやめないこと。他の人よりもプラスアルファの練習をして自分だけの武器を見つけると自信になる」と呼びかけた。
 盛小の及川樹さん(2年)は「走るのが好きで、とても楽しかった。もっと速く走れるように頑張りたい」と笑顔だった。
 午後は、大船渡町の体験・交流型飲食店「BBQ&ビュッフェHappy」に会場を移し、交流会を開催した。
 熊谷さんは、三陸町越喜来出身。東京国際大3年時に箱根駅伝に出場し、復路の6区を走った。卒業後は実業団に7年間所属し、全日本選手権2年連続入賞などの成績を残した。
 昨年現役を退き、今年1月、市地域おこし協力隊員となり、古里にUターン。デジタル技術を駆使した運動能力の向上やIT活用策の普及などに取り組んでいる。
 着任翌月の2月26日、大規模林野火災が発生。自身は高田高1年時に東日本大震災を経験し、「当時は陸上をやれるような状況ではなかったが、さまざまな支援、応援のおかげで続けることができた。夢だった箱根駅伝にも出ることができた。今度は自分の番」と今回のファンランイベントを企画した。
 午前中の教室参加費と会場で行った募金の全額を合算した3万2547円は、林野火災災害義援金として市に寄付した。
 熊谷さんは「雨の中、たくさんの人に来ていただき、とてもうれしい。趣旨に賛同して参加していただいた伊藤選手、たむじょーさんにも感謝したい。走る楽しさをこれからも伝えたいし、そうした活動を通じて地域活性化に貢献したい」と力強く語る。