再び「地元志向」の傾向に 管内での就職希望者が半数超 大船渡職安 来春の新規高卒予定者対象 企業からの求人受け付け開始
令和7年6月3日付 1面

令和8年3月の新規高校卒業予定者を対象とする事業所の求人受け付けは2日、全国の公共職業安定所で一斉に始まった。大船渡職安(小野寺豊所長)でも、地域産業の担い手となる若い人材を確保しようと各企業が求人票を提出した。同職安によると、来春高卒予定者のうち、気仙管内での就職を希望する生徒は6年3月卒業者以来、2年ぶりに半数を上回った。「地元志向」の傾向がみられる中、同職安では各企業に対し、7月1日(火)からの公開を前にした早めの求人票提出を呼びかけている。(三浦佳恵)
新規高卒予定者向けの求人受付開始日は、平成29年から6月1日となっている。今年は1日が日曜日のため、2日にスタートした。
同職安が同日午後4時までに受け付けた新規高卒予定者対象の求人数は7社8件25人となり、前年の13社17件35人を6社9件10人下回った。同職安が4月から5月中旬に行った採用意向調査では、管内対象487社のうち60社が「求人票の提出見込みあり」と答え、求人数は129人と前年より企業数、求人数ともにやや増えた。
新型コロナウイルスの流行以降、求人手続きは「ハローワークインターネットサービス」によるオンライン申請が定着。現在、同サービスには管内の615社が登録しており、新規高卒予定者向けの求人手続きはほとんどがオンラインで行われているという。
陸前高田市竹駒町の㈱かねまつ建設(菊池秀明代表取締役、従業員18人)は、2日にオンラインで求人票を提出。新規高卒予定者向けの求人は10年ほど前から毎年行っており、今回は土木作業員2人の採用を計画する。
菊池代表取締役は「建設業界では高齢化が進んでおり、ベテランの技術を若い人材に経験させて将来につなげたい。完全週休2日制の導入といった働き方改革の部分も強みにできれば」と話していた。
同職安が5月16日現在でまとめた求職動向調査結果によると、管内の新規高卒予定者数は335人で、今春の卒業者を44人下回る。このうち、就職希望者は86人と前年調査時と同数で、今春の就職者数73人より13人多い。
卒業予定者に占める就職希望者の割合は25・7%で、前年比3・0ポイント増。就職希望地域の内訳は、管内が47人、県外が20人、管内を除く県内と未定は19人。就職希望者数に対する地域別の割合は、管内が54・7%(前年比16・3ポイント増)、県外が23・2%(同15・2ポイント減)、管内を除く県内と未定は22・1%(同1・1ポイント減)となり、2年ぶりに管内が半数余りを占めた。
管内での就職希望者が前年から増えた要因について、同職安の堀合栄樹統括職業指導官は「小・中学校時代から地元企業に理解を深めてもらう事業を行うなど、気仙の企業や関係機関の働きかけが結びついてきたのではないか」と分析する。
全国の多くの企業で人手や担い手の不足が叫ばれる一方、進学率の上昇などで就職希望の新規高卒予定者数は年々減少傾向にある。こうした中、貴重な人材を確保すべく、就職試験後は早々に内定を出す企業も増えている。気仙の今春高卒者をみると、昨年12月末までにという異例の早さで当時の就職希望者全員が内定した。
今年も同様の傾向が見込まれており、堀合統括職業指導官は「生徒のためもあるが、若い人材を確保したい企業は7月からの求人票公開に間に合うよう、今月の早い時期に求人を提出してほしい」と呼びかけている。
新規高卒予定者の選考と採用内定は、9月16日(火)からとなる。