事故のない作業目指して 建設業協会大船渡支部 被災木の伐採前に講習
令和7年6月4日付 1面

一般社団法人県建設業協会大船渡支部(須賀芳也支部長)は2日、大船渡市猪川町の同支部で「建設業の伐採作業による安全知識講習会」を開いた。同市で発生した大規模林野火災による被災木の伐採作業が予定されている中、参加者らは事故のない作業を目指し、重機やチェーンソーの操作、安全を確保するためのポイントなどを学んだ。
同協会は県と災害協定を結んでおり、大規模林野火災の発生に伴い、県から応急対応として被災木の伐採作業を委託された。同支部の会員6業者が気仙地方森林組合の協力を得て、今月から主要地方道大船渡綾里三陸線沿いの指定箇所で火災被害を受けた約900本を伐採する予定となっている。
講習会は、被災木の伐採作業に求められる知識や注意点を確認しようと開催。会員事業所の現場責任者ら30人余りが参加した。
須賀支部長は「講習会で聞いた内容を思い出し、事故のないよう、安全な手順を考えて作業に当たってほしい」とあいさつ。
引き続き二つの講話が行われ、はじめに、建災防岩手安全衛生支援センターの安全衛生専門家・指導員の阿部健一さんが、重機に関する事故の事例や予防のポイントを紹介。
予防については、事前の計画や正しい方法に従った作業、立ち入り禁止区域の指定などを挙げ、「初心に返り、労働災害が発生しないよう安全な作業に導いてほしい」と述べた。
続いて、大船渡労働基準監督署安衛課安衛係の千葉翔太さんが林業における災害事例や、被災木を伐採する際の注意点などを解説。延焼区域では、地表面に現れた石や地面の保水力低下などに伴って転倒の危険性が高まるとして、足元に十分注意するよう呼びかけた。
チェーンソーを使った伐木作業に当たっては、取り扱い方法などに加え、「火災の影響があった樹木は表面や内側まで炭化し、水分量が少なくなって硬く、柔軟性がなくなる」として、▽伐倒方向が定まらない▽チェーンソーの刃の摩耗が早く、すぐに切れなくなる▽手応えは生木とは異なり、松くい虫の被害木を切るときに似ている──などと留意点を挙げた。さらに、かかり木の処理や斜面での作業、枝払いなどでの安全対策、熱中症予防にも言及した。
参加者らは熱心に耳を傾け、作業の注意点などを確認。自社でも従業員らと意識を共有し、事故のない安全な作業を誓っていた。