震災の教訓 学び快適に 電動カートを本格運行 市観光物産協会 個人向けガイド 祈念公園内の震災遺構など案内
令和7年6月4日付 1面

陸前高田市観光物産協会(熊谷正文会長)は本年度から、同市の高田松原津波復興祈念公園内を案内するパークガイドとともに園内を巡る電動カートを本格運行している。奇跡の一本松を含む震災遺構などを見学する有料の個人客向けガイドサービスで、広大な公園を快適に移動できるカートを活用して震災の教訓伝承につなげる。土・日曜日、祝日限定で運行しており、事前予約を呼びかけている。(高橋 信)
電動カートは市からの委託を受け、4月下旬に運行を開始。時速19㌔以下で公道を走ることができる電動車(グリーンスローモビリティ)1台を使用。7人乗り(乗客定員5人)で、パークガイド1人が同乗する。
運行エリアは園内西側。道の駅高田松原を出発し、気仙川水門、震災遺構の旧気仙中校舎と奇跡の一本松に立ち寄り、道の駅に戻るルートとなっている。
便数は1日5便。午前の3便の所要時間は1便当たり40分で、予約なしでも乗車できる。
午後の2便は完全予約制。ルートは午前と同じだが、旧気仙中校舎で下車し、ガイドに案内されながら校舎内を見学する。
市観光物産協会によると、1日現在、運行日数は14日で、運行本数は累計44便。乗客数は123人で、1便当たり2・8人だった。
同協会は、4月26日から5月6日までのゴールデンウイークにおける乗客アンケートを実施。期間中の乗客数は92人で、「また乗車したい」と回答したのは92%に上った。「説明がとても分かりやすかった」「津波の被害の大きさ、防災教育の大切さを改めて学ぶことができた」「忘れずに子どもたちに伝え続けたい」などという声が寄せられた。
同協会は令和3年度から、祈念公園内を案内するパークガイド事業を実施。受け入れ実績は最多で年間約1万人に上るが、教育旅行などの団体客が利用の大半を占めている。
こうした中、数人単位の個人客向けガイドも展開しようと電動カートを導入。昨年11月~今年3月に実証実験を行い、課題を検証したうえで、本格運行に踏み切った。
同協会の担当者は「カートを利用してもらうことで、少人数で来園した方々にも祈念公園や震災の教訓などを理解してもらえる。道の駅を訪れた人の滞在時間増にもつながればいい。地道に活動していき、少しずつ認知度を広げていきたい」と見据える。 カートの乗降場所は、道の駅高田松原前。料金は午前の便が大人1500円、小学生以下800円、午後の便が大人4000円、小学生以下2000円。
事前予約は専用サイト(別掲QRコード)で利用の3日前まで受け付けている。問い合わせは、同協会(℡54・5011)へ。