消防訓練で共助力高めて 岩手大客員准教授の船戸さんマニュアル冊子化 集合住宅自治会の運営者向けに
令和7年6月7日付 7面

東日本大震災の被災地でコミュニティー形成支援などに取り組む岩手大学客員准教授の船戸義和さん(46)=盛岡市=が、アパート・マンション型自治会向けの消防訓練マニュアルをまとめ、冊子化した。未経験者でも訓練を企画・運営できるよう開催手順などを分かりやすく掲載。「コミュニティーと防災は直結している。住民間のつながりを築くことが地域の防災力、共助力を高めることにつながる」とし、活用を呼びかける。(高橋 信)
船戸さんは、米国の大学院で非営利団体の運営、プロジェクトデザインなどを研究し、修士号取得。震災後の平成23年から2年間、NPO団体プロジェクトマネジャーとして大船渡市に駐在し、被災者のコミュニティー形成を支援した。現在は、NPO法人いわて連携復興センターのコミュニティアドバイザー、県被災地コミュニティ支援コーディネート事業のコーディネーターも務めている。
1棟に50人以上住んでいるアパート・マンション型の集合住宅は、年1回以上の消防訓練実施が消防法で義務づけられている。冊子は形式的で、マンネリ化しがちな訓練の内容を充実させ、災害に強い地域や集合住宅におけるコミュニティー形成の一助としようと、同コーディネート事業の一環で作成した。
冊子では10月に訓練を実施するとの想定で、1年間の取り組みを15の手順に分け、時系列で説明。手順は▽訓練・役割説明会の日時設定▽訓練内容の検討▽企画書の作成▽消防署打ち合わせ──などで、写真やイラストも載せて詳しく解説している。訓練の体験プログラムの紹介ページや、役割分担表、案内文、企画書などのひな形をダウンロードできる資料ページも設けた。
船戸さんは「マニュアルが、自治会が『訓練をやってみよう』と踏み出す一つのきっかけになれば。普段見ない人たちと顔を合わせる機会にもなる。住民たちだけでの企画・開催は負担が大きいことも考えられ、ノウハウを持つ外部専門家と継続的に連携する重要性も伝えたい」と話す。
冊子はA4判フルカラーの20㌻。300部発行。県内の集合住宅自治会などに無料配布している。
問い合わせは、船戸さん(メールfunato@iwate-u.ac.jp)へ。