人口減「第2段階」展望は 総合計画後期計画策定へ審議会新任期始動 少子化顕著、65歳以上も維持・微減に
令和7年6月7日付 1面

第1回大船渡市総合計画審議会は6日、市役所で開かれた。市長から諮問を受け、本年度は8年度~12年度を期間とする後期基本計画策定に向けて議論を重ねる。当局は、同計画の基礎的な資料となる「市人口ビジョン2025」の策定方針を示した中で、人口動向分析を説明。少子化や生産年齢人口の減少に加え、65歳以上も維持・微減に入る人口減の「第2段階」のほか、合計特殊出生率の低さなどを挙げた。人口減対策や大規模林野火災からの復旧・復興を最重要課題に掲げる。(佐藤 壮)
同審議会は、総合計画の調査・審議に向けた市長の諮問機関。学識経験者や民間団体や各種団体などの代表者ら20人で構成し、今年3月から2年間の新任期に入った。
委員や部長級職員ら約40人が出席。代表者に委嘱状を手渡した渕上清市長は「社会環境の変化は著しく、より柔軟で迅速な対応が求められるほか、大規模林野火災からの復旧・復興施策も最重要課題」と述べた。
議事では、会長には米谷春夫大船渡商工会議所会頭、副会長には刈谷忠市社協会長を選出。米谷会頭は「この審議会は、最重要、最上位の諮問機関。大船渡らしい総合計画にしたい」と述べ、渕上市長から後期計画策定に関する諮問書を受け取った。
後期基本計画の策定に関しては、7年度中に取りまとめるスケジュールに加え、前年度開催した「新たなまちづくりに向けた市政懇談会」や分野・階層別グループインタビューの実施状況を確認。市側は、後期基本計画の基礎資料となる市人口ビジョンの改訂方針を示した。
この中で、人口動向分析を説明。同市の特徴として▽若年層の進学、県外就職による「社会減」と、死亡数が出生数を上回る「自然減」が継続▽年齢階級別人口が「第2段階」に突入している▽合計特殊出生率が国・県の数値よりも低い──を挙げた。
人口減において「第1段階」は年少・生産年齢人口は減少するが、老年(65歳以上)人口は増加する時期を指す。「第2段階」では年少・生産年齢人口の減少が加速化し、老年人口が維持から微減に転じる。
年齢階層別の人口を見ると、老年人口は平成14年に1万1000人を超えて以降、前年比200人超のペースで増加する期間も見られた。平成28年には1万3000人台となったが、令和6年は1万2566人で前年比181人減となっている。
1人の女性が生涯に産む子どもの平均数を示す合計特殊出生率は、平成27年の1・81人から、令和元年には1・48人に減少。2年以降は国、県の数値を下回り、少子化がより顕著になっている。
昨年の国立社会保障・人口問題研究所による推計では、市内人口は5年後の令和12年に3万人を割り、27年には老年人口も減少する「第3段階」突入を予測。人口減少対策は「喫緊かつ最重要課題」と位置づける。
今後の計画策定に向けた協議では、市政懇談会やグループインタビュー後に大規模林野火災が発生したことを受け、委員の一人が「被災した地域の方々の意見を聞く必要があるのでは」と指摘。市側は、担当部や林野火災対策局が受けた意見などを反映させる姿勢を示した。
人口減対策では、働く場の確保を強調する意見が寄せられたほか、農林水産業などに影響を及ぼす温暖化への対策も話題に。「やらなければならないことを絞り込んでいくことが大事」との意見も出た。
審議会は年度内に4回程度開催し、後期基本計画策定に向けた具体的な議論を重ねる。委員次の通り。
吉野英岐(岩手県立大学総合政策学部教授)畠山博史(司法書士畠山博史事務所)米谷春夫(大船渡商工会議所会頭)猪股岩夫(市農業協同組合代表理事組合長)和田豊太郎(市水産振興連絡会長)
齊藤俊明(市観光物産協会長)刈谷忠(市社会福祉協議会長)大和田洋太郎(市地区公民館連絡協議会長)鎌田智(大船渡青年会議所理事長)鈴木利男(市スポーツ協会長)
伊藤碧(こそだてシップ事務局長)江刺由紀子(おはなしころりん理事長)及川由里子(男女共同参画審議会副会長)今野良子(キャリアパートナー代表)今野留美(NOWBELBE放課後等デイサービス「空の青」児童発達支援管理責任者)
佐々木陽代(LOVE大船渡プロジェクト実行委員会委員長)志田知美(大船渡小教諭)中村純代(大船渡・住田定住自立圏共生ビジョン懇談会委員)新沼真弓(防災士)新沼滉(公募)