地域の拠点に栄誉 上有住地区公民館 「公共建築賞・優秀賞」に選定
令和7年6月8日付 1面

住田町の上有住地区公民館が、一般社団法人公共建築協会による「第19回公共建築賞・優秀賞」に選ばれた。幅広く活用できる特徴的な設計が評価されたもの。表彰式は11日(水)に宮城県仙台市で行われる。町や公民館の関係者は、受賞を機に施設の魅力づくり、さらなる利活用に意欲を高めている。
同賞は、表彰によって公共建築の総合的な水準を向上させようと昭和63年に創設。評価の基準として、設計施工が優れていることだけでなく、地域社会への貢献や施設管理、保全といった視点からも評価される。今回は、全国から応募のあった114点のうち33点が受賞した。
上有住地区公民館は、旧施設の老朽化に伴って建て替え工事が行われ、令和3年に完成。設計業者の選定は公募型プロポーザル方式とし、結果、㈱パーシモンヒルズ・アーキテクツ(神奈川県)が設計を担当した。
設計にあたっては、地域の景観や特性を踏まえたデザインを採用。隣接する住田町民俗資料館は地域内の貴重な資源で、多世代の住民に愛されていることから、同館を中心とした配置と立面を計画。敷地入り口から見た際に、民俗資料館の象徴性が高まるよう、視界に公民館がかぶらない配置とした。エントランスの大きな三角土間には、流し場や縁側も設けられて幅広い活用方法があり、屋外の広場は住民らの憩いの場、体験学習の場にもなっている。
デザイン性だけでなく、町内のスギやカラマツ、アカマツを材料に使用するとともに、気仙大工の伝統工法も生かすなど、随所に細かな工夫を凝らした。
同公民館は、町内の公共施設としては役場庁舎、特別養護老人ホームすみた荘、大船渡消防署住田分署に続く四つ目の中大規模木造施設で、公民館活動や住民組織の拠点、放課後子ども教室、各種教室などで幅広い年代に活用されている。
町教育委員会の佐々木喜之教育次長補佐は「小さい町でプロポーザルをやっているといのはあまり例がないと思うので、そうした挑戦も評価していただいたのではないか。民俗資料館とも調和し、地域の活動拠点として使われているので、引き続き、地域のよりどころとなる施設にしていきたい」と話しており、教育委員会事業でのさらなる活動も見据える。