綾里~赤崎 通行可能に みちのく潮風トレイル 延焼区域も「歩ける状態」
令和7年6月10日付 7面

みちのく潮風トレイルルートのうち、大船渡市大規模林野火災の影響で通行止め措置が続いていた三陸鉄道三陸駅~盛駅の区間は、9日から通行可能となった。国内外のハイカー来訪や交流人口増加の期待が集まるが、樹木の焼損など林野火災の影響自体は残っており、安全に留意しながらの通行を呼びかけている。
大規模林野火災の延焼区域には、三陸町綾里〜赤崎町に綾里峠コースと綾里崎コースがある。綾里峠コースの赤崎町側に利用者カウンターを設置しているが、令和6年度は約450人が押し、峠道を歩いた。
環境省東北地方環境事務所や市、認定NPO法人みちのくトレイルクラブなどでは大規模林野火災を受け、両コースを含む三陸鉄道の三陸駅~盛駅の区間約40㌔は立ち入らないよう周知。ルート全体の踏破を目指すハイカーらには、三陸鉄道の利用を案内してきた。
鎮火後の調査では大きな問題はなく、歩ける状態であることが確認された。関係機関との調整を経て、通行再開を決定。青森県八戸市~福島県相馬市の約1000㌔を結ぶ全線開通から6年の節目に当たる9日は、日の出時刻に当たる午前4時ごろから歩けるようになった。
一方で、今後、市と連携して実施する巡視などで支障がある状態が確認された場合は、再度、通行回避の要請を行う可能性もあるという。
市観光交流推進室の古内弘一次長は「近年、みちのく潮風トレイルを目的とした来訪者が増えていたが、林野火災で一時的に停滞した状況となった。再び、多くのハイカーが訪れるようになり、交流人口の拡大を期待している。安全には留意しながら歩いてもらえれば」と話す。
市内のルートでは本年度も、岩手開発産業㈱による地元密着型旅行サイト・三陸ツアーズが「おおふなトレイル」を企画。7月5日(土)と6日(日)は、綾里地区を中心としたルートでの開催を計画している。
また、地域DMO(観光地域づくり法人)の一般社団法人大船渡地域戦略は、環境省の事業採択を受け、被災ルートの復旧・復興過程を生かした取り組みを進める。被災の現状を学び、長期的な保全に向け、ハイカーがメンテナンスにもかかわる意識を高める流れを描くほか、米国での林野火災など自然災害の復旧に携わった専門家との交流も見据える。