再発防止へ債権管理適切に 町議会一般質問で当局答弁 木工団地訴訟の和解巡り
令和7年6月11日付 1面

住田町議会6月定例会は10日開会し、会期を13日(金)までの4日間と決めた。初日は荻原勝(無所属)、村上薫(同)の2議員が一般質問。町から多額の融資を受けながらも破産した三陸木材高次加工協同組合(三木)と協同組合さんりくランバー(ランバー)を巡る裁判の和解に伴う住民説明会についての論戦の中で、町当局は今後、同様の事態を防ぐために改めて債権管理・リスク管理を適切に行っていく考えを示した。(2面に一般質問の主なやりとり)
和解に伴う説明会について取り上げたのは村上議員。「住民からは和解に理解を示す声があった一方で、問題を総括し、再発を防ぐよう求める意見もあった」とし、問題の総括や今後の債権・リスク管理への考えを尋ねた。
三木、ランバーの2事業体は、平成19年に経営危機が判明。町から両事業体合わせて約7億9000万円の公金融資を受けて経営再建を進めていたが、令和2年7月末、盛岡地方裁判所一関支部に破産を申請。同8月に同支部から破産手続き開始決定を受けた。同10月、町は連帯保証人とその相続人計19人に対し、農林業振興基金からの貸付金残金と利息、違約金など合わせて約10億5000万円の支払いを求めて同支部に提訴した。
以降、およそ4年5カ月にわたり裁判が行われてきたが、今年3月、被告側が合わせて1億8948万円を町に支払うという和解案に原告、被告双方が合意し、和解が成立した。両事業体の破産申請後、ランバーはけせんプレカット事業協同組合の製材工場、三木は集成材工場として稼働しており、事業そのものは「一本化」して継続している。
和解に伴う住民説明会は5月に町内5会場で開催され、町が提訴から和解に至るまでの経過を住民に明かした。
村上議員の質問に対し、神田謙一町長は「一連の問題の終結を受け、貸付金の元金を全額回収できなかったことは大変遺憾に思っている。一方で、現在も木工団地内における加工・流通体制が整備され、従業員の雇用が守られていることは、貸し付けによる効果が一定程度あったものと捉えている」との認識を示したうえで、令和3年度に施行した町債権管理条例によって債権管理の適正化と、住民負担の公正・公平性を確保していると説明。
債権管理に関するリスクについては「債権が適切に回収されないことに伴う収入減や財政難にいたる財務リスクがあると考えている」とし、「債権・リスクの管理体制は、各債権の所管課の担当をはじめとする職員が個々の事務を適切に遂行することが基礎となるが、柔軟かつ綿密な連携のもと組織を挙げて対応する必要がある」との考えを示した。
定例会日程は次の通り。
▽11日=本会議(一般質問)▽12日=休会▽13日=最終本会議(議案審議)