火災影響の「繰越」17事業 6年度の一般会計 市議会6月定例会が開会
令和7年6月14日付 1面

大船渡市議会6月定例会は13日に開会し、会期を24日(火)までの12日間と決め、市当局による報告や議案説明が行われた。令和6年度繰越明許費報告のうち、一般会計で本年度に繰り越されたのは30事業計8億2524万円分。このうち、大規模林野火災に伴う避難所運営など直接的な対策は3事業、火災の影響で遅れたものは17事業で、それぞれ計約1億円。大規模林野火災の復旧・復興に要する経費などを盛り込んだ本年度補正予算案は、最終日の本会議で審議、採決を予定している。(佐藤 壮)
被災者支援で補正計上も
市当局は定例会初日に報告3件と議案5件を上程。報告の一般会計繰越明許費では、大規模林野火災関連が目立つ。
直接的な事業のうち、林野火災災害対策事業(8527万円)と住宅リフォーム工事助成事業(150万円)、市営住宅改修・修繕事業(1499万円)はいずれも、大規模林野火災を受けて補正予算に計上。林野火災災害対策事業は、避難所運営関連が中心となっている。
火災の影響で翌年度に繰り越した事業のうち、市民文化会館大ホール等舞台照明設備更新事業(3000万円)は、同施設が避難所として利用されたことによるもの。
綾里地区生産物直売所解体撤去事業(1864万円)と綾里駅トイレ改築事業(1066万円)は、避難指示対象区域となった影響で完了がずれ込んだ。撤去はすでに終了し、新たなトイレは4月26日に供用開始。直売所にあったステンドグラスを生かしたデザインで、駅利用者だけでなく、みちのく潮風トレイルを巡るハイカーらの利便性向上が期待される。
障害福祉、介護の各サービス事業所や保育所、医療施設、公衆浴場などへの物価高騰対策支援金事業は当初、年度内交付を見据えて2月定例会に補正予算を計上。大規模林野火災を受け、2月中の議決が見送られたため、事業展開も7年度にずれこんだ。
当局が上程した条例案は▽市税条例▽地域経済牽引事業の促進区域における固定資産税の課税免除に関する条例▽市子ども、妊産婦及び重度心身障害者医療費給付条例▽都市公園条例──の各一部改正を行うもの。
本年度の一般会計補正予算は、歳入歳出にそれぞれ7億6479万円を追加。補正後の総額を228億2610万円とする。
大規模林野火災の被災者支援策のうち、災害救助費には3822万円を計上。被災者に対する災害弔慰金支給に加え、災害援護資金貸し付け、災害ボランティア調整の財源となる。
被災家屋の解体、撤去を進める災害廃棄物処理費は3億243万円。住宅再建を見据え、市内業者が施工し、県産木材を使用した際の補助金は1戸当たり100万円を見込む。さらに、消防車両が乗り入れを重ねたことで凹凸が発生した綾里小グラウンドの復旧に230万円、寄付金を活用したトイレ洋式化改修として360万円を盛り込んだ。
通常事業では、物価高騰対策給付金給付事業に3500万円を計上。定額減税の当初調整給付額で不足が生じた住民に対応する。避難所環境改善に取り組む防災関係事業は5102万円。組み立て式の簡易トイレや折りたたみ式の簡易ベッド、スポットクーラーといった資機材を整備する。
定例会では冒頭、前議長の三浦隆議員に、伊藤力也議長から県市議会議長会長感謝状が伝達された。
定例会の日程次の通り。
▽14〜17日=休会▽18〜20日=一般質問▽21〜23日=休会▽24日=本会議(議案審議)