組織運営の強化へ連携 協定締結 陸前高田、住田町両商工会(別写真あり)

▲ 「広域連携を推進していきたい」との思いを一つにする伊東会長㊨と千田会長

 陸前高田市の陸前高田商工会(伊東孝会長)と住田町商工会(千田明夫会長)は13日、商工会機能を維持するとともに、互いの組織運営を効率的・効果的に推進しようと、広域連携に関する協定を締結した。会員数が減少する一方で、経営相談・支援のニーズが多様化している事態を踏まえて協力し合うこととし、災害時における職員派遣、講習会・セミナーの合同開催などスケールメリットを生かした取り組みを展開していく。(高橋 信)

 

 協定の締結式は世田米の町商工会館で行われ、両商工会の役員、石渡史浩陸前高田市副市長、神田謙一町長、県沿岸広域振興局の沖野智章副局長らが出席。県商工会連合会の髙橋富一会長が立会人を務めた。
 伊東、千田両会長が協定書に署名。固く握手を交わし、今後の連携促進へ思いを一つにした。
 広域連携業務の柱は▽災害時などにおける相互支援▽経営改善普及事業における連携▽部会事業における連携▽広域連携協議会設置の検討▽その他必要な連携──の五つ。
 「災害時などにおける相互支援」では、地震や津波、台風などで商工会や職員が被災した場合、事務所、資機材の提供や職員派遣を行う。
 「経営改善普及事業における連携」に関しては、講習会やセミナーの合同開催、創業支援案件の連携などを展開する。広域連携協議会は将来的な設置を見据え、検討していく。
 4月1日時点の会員数は、陸前高田が524人、住田が139人。陸前高田は東日本大震災当時、約700人の会員のうち、9割近くが被災し、廃業する事業者もいた。住田は最大で266人(昭和56、57年度)の会員が加盟していたが、現在はおよそ半分に減った。自主財源の縮小、職員数減に伴う支援水準の低下など財政・機能面で課題を抱える中、激変する経営環境に対応するため支援体制の強化が求められていた。
 こうした状況を踏まえ、県商工会連合会は昨年度から、商工会同士の広域連携について検討。▽陸前高田と住田▽岩手と葛巻▽野田と洋野──の三つをモデル地区に選定し、3地区とも本年度、協定を結ぶこととなった。
 伊東会長は「震災復興のハード事業終了に伴う工事の減少や後継者不足などから事業の継続を断念する事業者もみられ、商工会の持続的発展が課題となっている。住田町商工会との連携を強め、会員事業所の発展を支援していきたい」と見据える。
 千田会長は「会員数の減少に加え、指導・相談のニーズが多様化、複雑化している。陸前高田商工会と協定を締結できたことは、商工会はもちろん、町内事業者にとっても大変心強い。その効果を最大限発揮できるよう努めていく」と力を込めた。