3年連続の黒字決算に 大船渡魚市場㈱ 定時株主総会 6年度利益は1947万円
令和7年6月15日付 2面

大船渡魚市場㈱(千葉隆美社長)の第74期(令和6年4月1日~7年3月31日)定時株主総会は14日、大船渡市大船渡町の同市魚市場で開かれた。水揚げ数量、金額ともに前期を上回り、当期利益1947万円を計上するなど、3年連続の黒字決算となった。取締役の任期満了に伴う議案は5人を留任、8人を新任とし、臨時取締役会では千葉社長の留任が決まった。
総会には、本人と委任状合わせ93人(株式数割合86・6%)が出席。冒頭、千葉社長は急潮や大規模林野火災による水産業への被害状況に触れながら「人口減少などの影響で、われわれの業界も決して良い状況とは言えず先は見えないが、下を向くわけにはいかない。自然の恵みが一つ一つ良い方向に導いてくれると信じ、好漁を願う」とあいさつした。
市魚市場開設者である渕上清市長は「現場の皆さまの声を聞き、水産業の振興に全力を挙げて取り組む」と述べた。
議事では、74期の水揚げや経営の概況報告、貸借対照表と損益計算書を承認。利益金処分案なども原案通り決定した。
報告によると、同期の水揚げ実績は累計数量が2万6538㌧(前年比23・2%増)、金額(税込み)は67億516万円(同18・9%増)でいずれも増加した。
実績のうち、定置網漁業は数量で1万2115㌧(同12・7%増)、金額は18億7964万円(同15%減)。水揚げ量は前期を上回ったが、金額は、急潮被害によって定置網が破損し、操業日数が大幅に減少した影響を受けたほか、サバ、ブリ類の減少傾向も不安要素となっている。
サンマは、数量が5650㌧(同46%増)、金額が27億8457万円(同50%増)。全国的に見ても数量、金額とも大幅増加となった中、地元に大型船がある強みから、13年連続で全国2位、本州1位を維持した。
5年目となった火光利用敷網によるマイワシ漁獲の試験操業は、数量が3953㌧(同54・5%増)、金額は3億2333万円(同10・8%増)と増加。来遊時期が前期より1カ月ほど早く、早々に漁獲枠4000㌧に達して終漁した。全国的に水揚げは増えたが、脂の少ない小サイズが多く、相場は下降気味だった。
日曜日を中心に受け入れた巻き網、一本釣りのカツオは、数量1633㌧、金額6億2346万円でいずれも前年の2倍以上に。定置網での漁獲もあり、魚体組成も良好だった。
しかし、漁船漁業の根幹となるイカ釣りや船曳網漁業は、スルメイカの不漁が長引くなど疲弊。それでも、2月に発生した大規模林野火災の影響が色濃く残る中で出漁した今季のイサダは、水揚げ数量2258㌧(同166%増)、金額2億7212万円(同121%増)といずれも前年の2倍以上となった。
このほか、電気料の高騰を受け、大船渡製氷部会と同率に値上げしたタンク氷は、故障修繕に日数を要し、損失金を計上したが、水揚げ量の増加に恵まれ、経常利益は3190万円、法人税などを引いた当期利益は1947万円を計上。当期利益に前期繰越利益を加えた当期未処分利益は9607万円で、利益準備金に50万円、配当金に338万円、別途積立金に3000万円を充て、残る6219万円を次期繰越利益とした。
任期満了に伴う取締役の改選では、森下水産㈱の森下幹生会長が退任。留任5人、新任8人の計13人となり、「オール水産」で自然環境や漁況の変化に立ち向かっていく。
新役員次の通り。取締役の任期は2年。
▽代表取締役=千葉隆美▽専務取締役=佐藤光男▽取締役=舩砥秀市(越喜来漁協組合長)砂田光保(広田湾漁協組合長)亘理榮好(大船渡市漁協組合長)和田豊太郎(綾里漁協組合長)寺澤泰樹(吉浜漁協組合長)鎌田仁(鎌田水産㈱代表取締役)小濱健(サンコー食品㈱代表取締役)森下航生(森下水産㈱代表取締役)及川剛(㈱大力水産代表取締役)後藤学(大船渡漁船問屋協同組合代表理事)藤枝修(大船渡市副市長)