2025住田町長選/2期連続無投票の公算大 出馬表明は現職・神田氏のみ 7月15日の告示まで1カ月 

 任期満了に伴う住田町長選は、告示まで1カ月となった。現時点で出馬を表明しているのは2期目の現職・神田謙一氏(66)=下有住=のみで、対抗馬擁立に向けた動きは見られない。〝無風〟ムードが高まる中、町選挙管理委員会(髙橋美枝子委員長)は24日(火)、町役場町民ホールで立候補予定者説明会を開くこととしており、出席者の顔ぶれが注目される。(清水辰彦)

 

神田謙一氏

 今町長選は、8月4日(月)の任期満了に伴うもの。昭和30年の町制施行以来19回目で、7月15日(火)告示、同20日(日)投開票の日程が組まれている。
 現職の神田氏は日本獣医畜産大学大学院修士課程修了。昭和59年に住田町農協に入り、合併した陸前高田市農協を経て、平成19年住田フーズ㈱取締役生産部長、24年同社常務取締役に就いた。
 町長を4期務めた多田欣一氏(80)=世田米=が勇退を表明したことにより、16年ぶりに「新リーダー」を選ぶこととなった平成29年の町長選に初出馬。多田氏の支持層を取り込みながら選挙戦を進め、企業経営に関わってきた人脈と経験も生かし、町議を辞して臨んだ新人との一騎打ちを僅差で制した。
 就任1期目から、「住民生活の基本である『医・食・住』の充実」を重点に掲げており、無投票で当選した2期目では、より積極的に近隣市と連携をとりながら町政運営に当たっている。
 一方で、町内では毎年約100人ずつという規模で人口減少が続き、基幹産業である農林畜産業の担い手不足、空き家や耕作放棄地のさらなる増加など、少子高齢化に起因するさまざまな課題の深刻化が懸念されている。
 近年、頻発している自然災害への備え、拡大する鳥獣被害など、地域課題は山積、細分化しており、次の4年間を担うリーダーには、課題解決に向けた柔軟な対応が求められる。
 神田町政では、本年度からの5カ年を期間とする新たな町総合計画に「医」「食」「住」に加えて、地域コミュニティー活性化や町外とのつながり強化、行政運営のさらなる充実を図る「地域経営」を政策軸に盛り込んだ。この四つの基本計画を柱に据え、持続可能なまちづくりを進めている。
 前町長時代からの最重要課題として、これまで新人出馬の〝壁〟の一つとされていた木工団地2事業体の問題は、今年3月に〝終結〟をみた。
 町から巨額の融資を受けながらも破産した三陸木材高次加工協同組合と協同組合さんりくランバーに関して、町は貸付金や利息などの支払いを連帯保証人らに求め、令和2年10月に提訴。以降4年5カ月におよんだ訴訟は3月19日に和解が成立した。
 令和3年の前回選時には「木工団地問題が片付くまで、新人は名乗りを上げづらい」という声も聞かれたが、和解後も神田氏以外に起意や擁立の動きはなく、またもや無投票となる公算が大きい。
 神田氏は政党、団体への推薦要請はせずに無所属で出馬する意向。無投票ムードが高まる中で「やるべきことは変わらない。周りに左右されず、新たな総合計画を進めていく」と語っており、同氏の後援会(泉金一会長)では告示に向けて組織体制を整えている。今後は事務所開きを行うなど、選挙への準備態勢固めに万全を期す。
 今月1日現在の同町の有権者数は4105人(男2008人、女2097人)。前回選告示日と比べて491人少ない。