29日から「大船渡復興割」 最大4000円分の宿泊費助成、クーポン配布 市内16施設対象、予約は20日から

 大船渡市内の宿泊施設を利用する観光客に対し、1泊当たり上限3000円の助成と、飲食店で使用可能な1000円分のクーポン券を配布する市の「大船渡復興割事業」は、29日(日)チェックイン分から対象となる。観光客に対し、1泊当たり上限3000円の助成と、飲食店で使用可能な1000円分のクーポン券を配布。16日時点で市内16施設が対象で、施設ごとに20日(金)から予約を受け付ける。(佐藤 壮)

 

 大規模林野火災を受け、旅行を見合わせる動きが見られる中、市は観光需要や消費拡大の喚起などを図ろうと準備を進めてきた。先月の臨時議会で、関連事業費を盛り込んだ補正予算が可決された。
 宿泊施設を利用する観光客らは、本来の宿泊料金から1泊当たり最大3000円を割り引いた金額で宿泊できる。市は、割引額を宿泊事業者に補塡する。
 市内の宿泊施設を利用する観光客らには、市内の登録事業者(大型店舗除く)で利用可能なクーポン券も1泊当たり1000円分(500円×2枚)配布。クーポン券は、税込み購入額1000円ごとに1枚(500円分)とし、300程度の店舗・事業所で利用できる見込み。
 宿泊割引きの適用期間は、今月29日のチェックインから12月1日(月)のチェックアウトまで。クーポン券の使用期限は、宿泊日の翌日までとする。予約開始は今月20日からとなる。
 利用回数に制限はないが、連泊は1回につき2連泊が上限。団体旅行も対象とする。オンライン予約も対象とする一方、他の割り引きやクーポン等を併用する場合は、こうした割引適用後の宿泊料金から、復興割事業の割引額を決定する。
 期間のうち、土、日、祝日の前日に加え、8月3日(日)~14日(木)の宿泊は対象外。今月20日前に受け付けた予約者や、市内在住者(免許証等で確認)も利用できない。団体旅行は、市内在住者を除いて対象とする。
 事業予算は1万人分を確保。クーポン券の配布枚数が上限に達した場合は、宿泊料金の助成のみ行う。予算額の上限に達し次第終了となる。
 市によると、商工・観光業関係における間接的な被害は、今月14日までの段階で48事業者、1億6265万円に上る。このうち、予約キャンセルや停電に伴う冷凍冷蔵庫の商品損傷を合わせると、4000万円程度の被害を見込み、風評被害を含めた影響額はさらに増加が予想される。
 また、市と大船渡商工会議所が4~5月に実施した同商議所会員事業所対象のアンケート調査で、コロナ禍前との売り上げ比較で「減少した」と回答した割合が66・4%に達した。「50%以上減」と回答した割合を業種別にみると、宿泊業が37・5%に上る。さらに、物価高騰などの影響も重なり、厳しい状況が続いている。
 避難指示対象外となった地域に構えるホテルや飲食店でも来訪を見合わせる動きがあり、現段階でも「訪れていいものか」「迷惑にならないか」といった声を受けるという。市では観光需要の喚起と地域経済の回復に加え、歓迎体制を広く発信する方針を掲げる。
 割引額や対象施設は別掲。