見守り・相談支援事業始動 大規模林野火災 綾姫ホール内に事務所開設

▲ 事務所内でミーティングを行う支援員ら。仮設住宅などを訪れる見守りは17日から行う

 大船渡市大規模林野火災の被災者を対象とした、見守り・相談支援事業が16日に始まった。市が市社会福祉協議会(刈谷忠会長)に委託し、三陸町綾里の綾姫ホール内に事務所を開設。建設型の応急仮設住宅やみなし仮設入居者に加え、一部損壊などの被害を受けた約90世帯程度を対象に訪問活動を行って孤立防止や相談に当たるほか、サロン開設やコミュニティー支援、支援団体との調整も担う。
 綾姫ホールの会議室内では同日、事務所となる「被災者生活支援・地域支え合いセンター」の開設作業が行われたあと、今後の活動に向けたミーティングが行われた。訪問による見守りや安否確認のほか、関係機関へのつなぎ、集いの場となるサロンの開催や周知情報提供、ニーズ把握などに当たる。精神的ケアに向けた保健機関への紹介に加え、生活再建に向けた困りごとの対応も見据える。
 配置支援員は4人。市社協では東日本大震災が発生した平成23年から、仮設住宅住民の見守り活動を行う「陽だまりサポーター」活動を展開。現在も継続的な支援が必要な被災者を対象に続けており、支援員のうち3人がこれまでサポーター活動に従事してきた。
 主任を務める山下健一さん(45)は「震災以降、大船渡で蓄積された力を発揮するタイミングではないか。仮の暮らしの時間が、少しでも楽しく、前向きに過ごせるようにお手伝いできれば」と話す。
 大規模林野火災では、三陸町綾里と赤崎町の住家計90棟が被災。このうち、全壊は54棟、半壊は4棟、準半壊は10棟、一部損壊は22棟。大規模半壊や中規模半壊の被害家屋はなかった。
 県や市は、避難生活の解消と早期再建に向け、仮設住宅の提供を進めてきた。赤崎町の旧蛸ノ浦小と旧綾里中の両グラウンド2カ所に建設され、すでに被災者の生活利用が始まっている。
 建設戸数は蛸ノ浦が7戸で、綾里が26戸。入居戸数は蛸ノ浦が7戸、綾里が19戸となっている。民間アパートなどの「みなし仮設住宅」に加え、公営住宅でも入居が進み、避難所だけでなく親戚宅等に身を寄せる被災者もゼロとなった。
 一部損壊の住宅に暮らす地域住民も一定数いる中、義援金の支給額が全壊などに比べて少ないことから、経済的な事情も含めてきめ細やかに困り事に耳を傾ける方針。市では、仮設団地内のコミュニティー形成にとどまらず、今後の住宅再建も見据えて地元地域とのつながりを維持する支援のあり方も重視する。
 17日から、建設型の仮設住宅やみなし仮設、一部損壊などの住宅に暮らす被災者への訪問が本格化。事務所にも、相談スペースを設けている。
 事務所の開設時間は平日午前9時~午後4時。問い合わせは同センター(℡080・1660・2959)へ。