古里の活性化願いオープン イタリア料理店「クチーナ カズ」 高田町出身の菅原さん 修行先の東京からUターン
令和7年6月18日付 7面
陸前高田市高田町出身の菅原和麻さん(37)は18日、陸前高田市竹駒町字十日市場にイタリア料理店「cucina caz」(クチーナ カズ)をオープンする。東日本大震災後の古里を思い、「自分にできることを」と東京からUターン。地元住民や観光客らに本格イタリアンを提供し、古民家レストランの開業も夢見ながら、地域活性化を後押しする。(阿部仁志)
店の場所は、東日本大震災後に建てられたプレハブ施設の2階。内装は、陸前高田の山と海をイメージした緑を基調に、オーナーシェフの菅原さんが手ずから仕上げた。シックなデザインの木製テーブルが並ぶ、落ち着いた雰囲気を来店客に提供する。
菅原さんが掲げる店のコンセプトは、「魅力あふれる岩手の食材との出合いの場」。地元の農水産物を含む県産食材をふんだんに使い、食を通じて地域の魅力を発信する。
品書きの「本日のパスタ」は、「シラスと旬野菜のペペロンチーノ~山椒の香り~」「ベーコンと玉ねぎをじっくり炒めたトマトソース〝アマトリチャーナ〟」「アスパラガスの濃厚カルボナーラ」の3種。サラダやデザートなどとのセットメニュー(1800円)を用意し、オープン記念価格(終了日未定)で300円引きとする。
店名の「クチーナ」は、「小さなキッチン」という意味合いで使われるイタリア語。「肩肘張らず、子どもも大人も誰でも気軽にイタリアンを楽しんでもらいたい」という思いをこめ、SNSも活用しながら幅広い年齢層に来店を呼びかける。
物心ついたころから料理が好きだったという菅原さんは、旧高田一中、大船渡工業高を卒業後、平成19年に上京。東京都内のイタリアンレストラン「アマルフィイ・モデルナ」に勤め、修行の日々を過ごした。
23年の東日本大震災では、発災2日後に被災地に入り、大津波で変わり果てた古里の光景を目の当たりにした。旧駅前エリアにあった実家が全壊し、母と兄2人は無事だったが、父を亡くした。数日間がれき撤去や行方不明者の捜索活動に協力し、東京に戻った。
当時について、菅原さんは「自分や、人一人の無力さを感じた」と振り返る。「東京に帰ったときのまちが明るくて、暗い被災地とのギャップみたいなものがあった。地元は大変な状況。でも、自分も今の生活がある。そんな中でできることは何か」──考え抜いた結果、「東京でしっかり修行をして、将来、地元を盛り上げられるような料理人になる」ことを目標に掲げるようになったという。
Uターンしたのは、新型コロナウイルス禍中の令和3年。店舗開業を目指したものの、条件に合う物件探しなどに時間を要した。そこから、竹駒の空きテナントと出合い、岩手銀行高田支店と日本政策金融公庫一関支店からの創業支援を受け、オープンに至る。
菅原さんは、「ゆくゆくは、市内の古民家をリノベーションしたレストランをオープンさせたい」という夢の実現も見据える。「地元の人が普段食べている食材をイタリアンという形で提供し、新しい出会いが生まれる場を作りたい」と意気込んでいる。
毎週火曜定休。開店時間は、ランチタイムが午前11時~午後3時、ディナータイムが午後5時30分~9時。ランチタイムは混雑回避のため予約制とする。
予約、問い合わせは同店(℡090・5062・3540)へ。






