気仙でも2件の人身被害 県内各地でクマ出没相次ぐ

気仙でも出没が相次いでいるツキノワグマ(昨年3月、住田町世田米で撮影)

 気仙地区を含めてほとんどの山林がツキノワグマの生息地とされる県内。今年も各地で出没が相次いでおり、4月1日から6月16日までに大船渡市と住田町を含む8件(9人)の人身被害が発生。被害未然防止のため、県や市町は住民個々での対策も促している。
 ツキノワグマは、冬眠が明ける4月ごろから活発化。県による本年度の出没状況まとめによると、4月は219件、5月は521件。過去5カ年平均に比べると、4月は54件、5月は78件多い。
 気仙でも目撃が相次いでおり、各市町では防災行政無線などを通じて注意を促している。山あいの地域だけでなく、大船渡市では先月、大船渡町の住宅地近くにも姿を現し、近隣の住民たちを驚かせた。住田町では住田中学校グラウンドに現れ、生徒下校時の保護者引き渡しなど、安全確保策をとった。
 今月に入ってからは、2件の人身被害が発生。10日には住田町上有住の農場で作業中だった60代男性が背中などを引っかかれてけがを負い、16日には大船渡市三陸町吉浜の大窪山森林公園内を散策していた40代男性が頭や両腕を負傷。いずれも命に別条はなかった。
 県は本年度も、県全域に「ツキノワグマの出没に関する注意報」を発表。人里や農地では▽廃棄野菜や生ごみなどの適切な管理▽やぶを刈り払って見通しをよくする▽電気柵を設ける──といったクマを寄せ付けない対策により、被害の未然防止を図るよう呼びかけている。
 夏山登山シーズンでもあり、入山の際は▽事前に出没情報を確認する▽複数で行動し、明け方や夕方の入山は避ける▽鈴やラジオなどを鳴らして人の存在をアピールする──などを求める。
 クマに遭遇した際は、目を離さずに静かにゆっくり後ずさりする、背を向けて走って逃げないといった対応を呼びかけ、攻撃してきた場合は両腕で顔や頭を守って地面に伏せるよう促す。
 県による人身被害状況のまとめは別掲の通り。