サバとマイワシで132㌧ 市魚市場 定置網水揚げに活気広がる(別写真あり)

▲ サバとマイワシで100㌧超えの水揚げがあった市魚市場

 21日の大船渡市魚市場は、気仙沿岸の定置網船10隻が入港し、合わせて132㌧の水揚げがあった。1日での100㌧超えは、春漁の主力であるイサダ船のまとまった寄港があった4月21日以来約2カ月ぶりで、定置網の水揚げだけでは本年度初。急潮や大規模林野火災で被害を受けた漁場でも操業が始まった中での大台到達に、関係者らが今後のさらなる豊漁を願っている。
 同日は、早朝から定置網にかかった魚が船や車で市魚市場に運び込まれた。メインで水揚げが行われる東側岸壁のほか、南、北側にも定置網船が続々と接岸し、タンクを運ぶフォークリフトが絶え間なく行き交う慌ただしさに包まれた。本年度は、水温変化の関係で多くのキタミズクラゲが入網している状況で、選別にあたる乗組員らがクラゲを排除しながら作業を進めた。
 水揚げの中心となったのは、例年6月から量がまとまりだすサバと、全国的に漁獲が増加しているマイワシ。サバは64㌧、マイワシは62・5㌧で、このほかにタイ類やギハギもトン単位で数量がまとまった。
 定置網の主力魚種で、多獲性魚の一つであるサバ。昨年度の同魚市場への水揚げ量は、前年度比4%減の4140㌧、金額が同4%減の6億1088万円といずれも微減で、魚体の小型化に加え、近年緩やかに続く減少傾向が関係者らの不安要素となっている。
 一方のマイワシは、昨年12月から今年2月にかけて漁獲が急増し、数量は同22%増の9692㌧。しかし、金額は全国的にも豊漁だったことなどから伸びを欠き、同17%減の6億5215万円にとどまった。定置網のほか、火光利用敷網による漁獲では、来遊時期が早まったことで早々に漁獲枠に達して終漁となった。
 本年度の定置漁業を取り巻く環境は、昨年8月に発生した急潮で定置漁場2カ統が被害を受けた吉浜漁協と、大規模林野火災で2カ統分の網が焼失した綾里漁協が、例年よりも遅れて操業を開始。吉浜は5月28日に大鮑漁場、綾里は今月17日に大入漁場をそれぞれ復旧して網起こし、水揚げを行っているが、横沼(吉浜)、願松(綾里)の両漁場はまだ復旧しておらず、完全復活には至っていない。
 水揚げの様子を見守った大船渡魚市場㈱の千葉隆美社長は「サバかイワシか主体がはっきりしないが、100㌧の大台に乗り、翌週も良い量でつながっていけば。数量があれば関連する仕事も生まれる。吉浜と綾里は遅れもあったが、良い方向に向かっていくことを願う」と話していた。