農業・水産業支援で追加補正 市議会6月定例会最終本会議で可決 当初分では被災危険木除去補助も

 大船渡市議会6月定例会は24日、最終本会議が開かれ、追加提案された本年度一般会計補正予算を含む議案6件、議員発議案1件を原案通り可決し、閉会した。追加補正予算のうち、大規模林野火災の復旧・復興事業では、施設や設備が被災した農業者やしいたけ栽培施設、ワカメ養殖、漁船漁業、かご漁、刺し網漁などの各復旧整備に向けて補助金を交付。当初補正予算では、住家などに被害を及ぼす危険性がある被災木除去の補助事業に向けた財源を確保している。(佐藤 壮)

 

追加提出の補正予算は全員賛成で可決

 最終日に追加された一般会計補正予算は、歳入と歳出にそれぞれ3億5827万円を追加し、総額を231億8437万円とするもの。森林災害復旧費など大規模林野火災からの復旧・復興にかかる経費補正に加え、道路・河川維持として今月発生した市道石浜平林線の土砂崩れの対応に要する経費も盛り込んだ。
 農業振興費は、被災した倉庫をはじめとした農業用施設や、トラクター、耕運機などの再取得を補助金交付を通じて支援するもので、対象は十数人を見込む。特用林産施設体制整備事業は、被災した菌床しいたけ栽培設備などの復旧を支援する。
 県などの財源も生かし、いずれも補助率は4分の3とする。議員からは、農業生産の厳しい状況が続く中、市側も経営計画を把握したうえで補助を行うよう求める意見が出た。
 水産業振興費のうち、機器整備復旧緊急支援事業は、ワカメのボイルや塩蔵用の機械、ホヤやホタテなどの養殖活動に使用する機械などの再整備に対する経費を支援。県事業に上乗せする形で補助率は4分の3となり、漁協を通じて支援する。対象は10組合員程度を想定しており、すでに事業再開に向けて購入したものにも、さかのぼって交付することにしている。
 復旧緊急支援対策事業は、被災した漁網やイカ釣用の機器設備、刺し網、かご類などの復旧整備を後押しする市の独自支援策で、補助率は3分の2。イカ漁やイサダ漁向けには補助限度額の上限を500万円とし、4組合員を想定。刺し網やかご漁向けは50万円を上限とし、40組合員程度を見込む。
 森林災害復旧は、計画に基づき本年度は被害木の伐採といった整理を計画。事業費は1㌶当たり353万円で、本年度は30㌶を見込む。質疑では、伐採後に用材とならない木の処理や、用材になっても加工場まで運ぶ経費のあり方などで論戦が交わされた。
 このほか、末崎町の市道石浜平林線の土砂崩れの対応経費として、測量調査費1800万円を計上。土砂崩れ現場付近は今も片側交互通行が続いており、当局は「業務の中で最適な工法を見定めることにしており、現時点で復旧時期は未定」としている。
 定例会開会初日提出の補正予算には、被災危険木除去事業の補助金900万円が盛り込まれた。大規模林野火災で被災した樹木のうち、個人が所有し、倒木の恐れがあるものを林業事業者が除去する場合に支援する。補助率は10分の9で、上限を90万円とする。林地再生事業では伐採に入るまで一定期間を要する中、市はこの事業を設けることで、建物の近くにあるなど危険性の高い被災木の迅速な対応を見据える。
 追加提出の補正予算は、全員賛成で可決。一方、初日に提出した補正予算に対しては、森操議員(無会派、公明党)が反対討論を行った。道路・河川等維持補修事業について、発注方法が変わったことで小規模事業者の受注機会が減少している状況などを挙げた。採決では2議員が反対したが、賛成多数で可決された。
 一般会計補正予算以外では、当局上程の▽市税条例▽地域経済牽引事業の促進区域における固定資産税の課税免除に関する条例▽市子ども、妊産婦及び重度心身障害者医療費給付条例▽都市公園条例──の各一部改正を可決。議員発議案は市議会委員会条例の一部改正で、総務常任委員会が当局内に新設された林野火災対策局の調査などを所管することになった。