FMねまらいん30日で閉局 防災・市民メディア推進協が正式な放送廃止を決定

▲ 今月末での閉局が決まったFMねまらいんのスタジオ

 大船渡市のコミュニティーラジオ「FMねまらいん」を運営するNPO法人防災・市民メディア推進協議会(理事長・鈴木英里東海新報社社長)はこのほど総会を開き、30日(月)で同局を「廃止する」と決定した。資金や人員の不足を受けて今年3月から放送休止措置を取っていたが、「放送継続の道筋がなくなった」として正式に閉局を決めた。
 同法人は、平成23年3月の東日本大震災発生を受けて立ち上がった大船渡市の災害FMの後を引き継ぐことなどを目的に発足。25年4月にコミュニティーFMとしてねまらいんを開局し、市民パーソナリティーらが中心となってオリジナル番組の制作を繰り広げるとともに、地震、台風、津波警報発表時などの際には防災に関する情報発信を行ってきた。
 一方、広告収入や行政収入は伸び悩み、慢性的な人員不足も加わって、経営状態は年々悪化。2月には理事会を開き「継続は困難」と判断し、3月末をもっての「休止」を決定した。
 以後、同法人は再開へ向け、放送免許の譲渡や経営母体の移管といった可能性を模索してきたが、引き受け可能な団体がなく、改めて継続は困難と判断。今月開催された総会で閉局の結論を下した。「廃止届」は20日付で総務省に受理された。
 鈴木理事長(45)は「休止の告知についても、予定の直前に大船渡市の大規模林野火災が発生したことから延期し、結果的には休止まで半月足らずでの急なお知らせとなってしまった」とわびるとともに、「パーソナリティーたちは当時、火災が鎮圧状態になるまで連日連夜、関連情報を発信し続けてくれた。リスナーにも『助かる』といった声をいただき、災害時のラジオの有用性が再認識されたところだったので、廃止はなおさら申し訳なく思うが、行き詰まった状態を打開することはできなかった」と説明。
 そのうえで、「開局から約12年間、さまざまな困難があった中で続けてこられたのは、ラジオをお聞きいただいた皆さま、運営にご理解とご協力をいただいた皆さまのおかげ。ねまらいんの立ち上げに携わった人たちの思いを引き継げなかったことは無念だが、多くの方々のご尽力に感謝している」と語った。