シンガポールに市民団派遣へ 市議会定例会の最終本会議 関連費含む補正予算可決

▲ 補正予算案などを原案通り可決した最終本会議

 陸前高田市議会6月定例会は27日、最終本会議が開かれ、予算等特別委員会(佐々木一義委員長)に審査を付託した補正予算案など8件と、同日追加提案された発議2件の議案計10件を原案通り可決し、閉会した。本年度一般会計補正予算には、シンガポールへの市民訪問団派遣の関連費を盛り込んだ。東日本大震災後、同国から手厚い財政支援を受けており、市民が現地に足を運び、直接感謝の思いを伝える。(高橋 信)

 

 この日可決されたのは、執行前提案1件、条例案2件、補正予算案5件と、発議2件。
 一般会計補正予算は、歳入歳出に2億6596万円を追加し、補正後の総額を174億5541万円とした。
 主な歳出は▽物価高騰対策緊急支援給付金事業費5378万円▽みどりの食料システム戦略緊急対策補助金363万円▽参院選事務費327万円▽シンガポール市民訪問団派遣業務委託料222万円▽大規模園芸施設誘致推進コンソーシアム負担金125万円──。
 このうち、シンガポール市民訪問団の派遣は、市が震災後展開してきたハード復旧事業が5月に完了したことを踏まえ、施設の再建などで多大な支援をしてきた同国に感謝を伝えようと実施するもの。
 定員は10人を想定し、一般公募で選定する。訪問期間は4泊5日程度で、1人当たり5万円を補助する。同国は多民族国家として知られており、多文化共生のあり方なども学ぶ。
 参院選事務費には、7月3日(木)公示、20日(日)投開票の日程で行われる同選挙に向け、市選管が新たに実施する移動支援策の関連費を計上。期日前投票や当日投票でタクシーで移動する有権者に片道500円分ずつ、計1000円分の割引券を配る。全ての有権者に郵送する投票所入場券に割引券を同封する予定。
 大規模園芸施設は県内沿岸部の園芸振興、雇用創出を図ろうと、県と連携し、誘致の可能性を探るもの。みどりの食料システム戦略緊急対策では、メタン発酵バイオガス発電設備の仮設機械を導入し、機械を稼働させると発生する消化液が農業用の液肥として有効かどうか検証する。
 物価高騰対策緊急支援給付金は、国が昨年実施した定額減税に関し、減税しきれなかった不足分を給付するもの。対象は1500人程度を見込んでいる。
 追加提案された発議2件は、▽市中小企業・小規模企業振興条例▽意見書の提出──で、ともに産業建設常任委員会(委員長・大坂俊議員)が提出した。
 このうち、条例は中小企業などの振興に関する施策を推進し、市の産業基盤の安定・強化を図ることを目的に制定するもの。同委は先進自治体の視察など同条例に関する調査活動を続けており、制定を踏まえ、今後は商工会や地銀など関係機関を巻き込んだ勉強会なども開催することとしている。
 意見書は「令和の米騒動」を受け、消費者と稲作農家が共生できる政策を求めようと、衆参両院の議長や首相、財務大臣、農林水産大臣、内閣官房長官に提出する。