「住民主体」どう取り組む 町地域包括支援センター 移動支援を考える研修会開く

▲ 住民主体の移動支援のあり方などについて学んだ研修会

 住田町地域包括支援センターによる移動支援研修会は27日夜、町役場町民ホールで開かれた。同町では高齢化が進んで免許返納者が増加し、地域内での移動手段確保の必要性が高まっている。研修会ではNPO法人・全国移動サービスネットワークの伊藤みどり事務局長による講話が行われ、住み慣れた地域で暮らし続けていくための、住民主体による移動支援のあり方について考える機会とした。(清水辰彦)

 

 研修会には、町内の地域づくり組織、福祉関係団体、議会、町などから合わせて約30人が出席した。
 はじめに、「生活支援体制整備事業」で町地域包括支援センターから生活支援コーディネーターの業務を受託している同町の一般社団法人・邑サポートの奈良朋彦代表理事が研修会の趣旨を説明。奈良代表理事は、高齢化に伴う免許返納が増加する中、最低限の移動手段確保が求められており、公共交通で担えない移動を住民同士の支え合いでカバーしていく取り組みについての検討が必要との考えを示したうえ、「公共交通機関との併存をベースとしながら、住民同士が持続的に取り組むことのできる移動支援のあり方と仕組みを検討できれば」と出席者に呼びかけた。
 引き続き、伊藤事務局長が「移動支援に関するしくみと住民主体の移動支援の事例」と題して講演した。
 伊藤事務局長は、「住み慣れた場所で、自分らしく生きられる地域をつくること、今まで通りの暮らしが続けられるようにすることが、地域包括ケアシステムの構築」とし、そのためにも「移動・外出が大事だ」と強調。
 少子高齢化、過疎化の進行で高齢独居、高齢者のみ世帯の増加、交通空白地域の拡大などで生活に必要な移動・外出が困難となっている高齢者が増えている中、住民が主体となって展開する買い物支援などの取り組みが現れてきていることを伝えた。
 また、他県の住民互助の取り組み事例を示しながら、移動支援の立ち上げプロセスの一例も紹介。そのうえで、「人と人がつながると、生活課題が見えてくる。見えてくれば、買い物・通院送迎などが動き出す。動くと、家事などの生活支援のニーズも見えてくる」と体制整備の際に意識することを挙げた。
 さらに「大事なのはつながりを作ること、参加の裾野を広げること」などとし、「移動支援というのは『つなぎ役』で、つながりを作る取り組み。常にそのことを意識して関わってもらえたら」と出席者に語りかけた。
 町内では、大股地区の住民協働組織・「スマイルおおまた大股地区振興協議会」が、外出困難な高齢者らを対象に町内の店舗や役場、金融機関などを往復する取り組みを展開。他地区でも今後、移動支援の実施を視野に入れている組織もある。
 研修会に出席した同協議会事務局の紺野和美さん(40)は、「独居高齢者の方に役割を持ってもらうことで外出、交流の機会につながるというお話もあり、参考になった。そこを重点に、地域の方に声をかけていきたい。地域人口が減る中で、いろんな人に参画してもらえれば」と話していた。