半壊以下の支援額2倍に 大規模林野火災の第3次義援金配分 全壊世帯の再建加算にも追加 建築資材費高騰など配慮
令和7年7月1日付 1面

大船渡市は6月30日、大規模林野火災義援金の第3次配分額を示した。半壊、準半壊、一部損壊の各世帯に36万円~240万円を追加するほか、全壊世帯が住家を購入、再建する際の加算を増額した。建築資材の高騰といった社会情勢を考慮したという。支給開始予定日は7月10日(木)。今後は被災した綾里、蛸ノ浦綾里地区の両コミュニティーや、被害を受けた協同組合などに対する住家以外への対応の行方が注目される。(佐藤 壮)
6月27日に義援金配分委員会(委員長・刈谷忠市社協会長、委員7人)の第3回会合が開かれ、新たな配分額を決めた。委員会は非公開で行われ、市は30日に会議結果を公表した。
義援金の受け入れ総額は、先月17日時点で14億3013万8335円。第3次配分額は1億9272万円で、4月決定の第1次配分と5月決定の第2次配分を合わせると、11億2480万円の配分先が決まった。
第3次配分額と対象数は別掲の通り。住家被害では、半壊以下の被害を受けた世帯に追加配分する。半壊世帯には第1次配分で80万円、第2次配分で160万円の計240万円を支給しており、今回の加算分240万円を含めた合計額は480万円となる。
準半壊は第2次までで計60万円だったが、第3次分を含めて計120万円に。第2次までが計36万円だった一部損壊は、第3次の加算分を足すと計72万円で、いずれも倍増となる。今回の大規模林野火災では、大規模半壊や中規模半壊の被害家屋はなかった。
住家を建設、購入する全壊世帯に対しては、第2次配分で新規に300万円の支給が決まった。第3次では、さらに300万円を加算し、計600万円となる。
火災被害を受けた住宅地では公費解体が行われているが、現段階では現地で再建できる状況は整っていない。市によると、再建加算は現在、購入1件に対して配分の手続きが進められているという。
住宅の再建や補修を巡っては、14年前の東日本大震災時と比べ、建築資材の大幅な高騰が指摘されている。義援金配分とは別に、先月の市議会6月定例会では、住宅再建を見据え、市内業者が施工し、県産木材を使用した際に1戸当たり上限100万円を見込む補助金を交付するための補正予算が可決された。
また、半壊以下の被害に対しては、国の制度による被災者生活再建支援金と義援金の配分がいずれも全壊世帯よりも大幅に少なく、補修時における負担の大きさも課題とされてきた。第3回配分委員会では、こうした実情を踏まえた議論が進められたという。
第3次を終え、配分が決まっていない義援金の残金は約3億500万円。先月下旬以降も、県内外から義援金寄付が相次いでいる。
同委員会では、第4回以降の検討事項として▽被災したコミュニティー(綾里地区、蛸ノ浦地区)に対する配分▽被害を受けた協同組合などへの配分──を挙げる。
農林水産分野の広範囲に被害が及び、市は施設や設備が被災した農業者やしいたけ栽培施設、定置網漁やワカメ養殖、漁船漁業、かご漁、刺し網漁などの各復旧整備に向け、補助金交付を進める。一方、補助割合はいずれも経費の満額に満たず、事業が膨大に及ぶ中で漁協をはじめ協同組合が負担する復旧・復興事業費の増大が懸念されている。
また、林野再生に向けても、延焼面積が平成以降では最大となる3370㌶に及ぶ中、伐採や搬出、被災木の処理といった事業費の全容はつかみ切れていない。今後の義援金配分は、住家被害以外の分野にどう広がるかが注目される。