新純米酒「氣仙川」が完成 八木澤商店や酔仙酒造など きょう限定販売開始(別写真あり)
令和7年7月2日付 3面

陸前高田市の㈱八木澤商店(河野通洋代表取締役)と酔仙酒造㈱(金野連代表取締役社長)、遠野市の米農家・勘六縁(菊池陽佑代表)が製造を進めてきたオリジナル純米酒「氣仙川」が完成し、2日に陸前高田市気仙町の陸前高田発酵パークCAMOCY(カモシー)内で販売を開始する。精米歩合80%と磨きを減らした米を用い、米本来の甘みやうまみを味わえる一品に仕上げた。店頭では約200本の限定販売となり、八木澤商店のイタリア支社を通じてヨーロッパ市場にも展開する。
3社による純米酒造りは、河野社長の提案で実現。勘六縁が無肥料・無農薬で栽培したササニシキ150㌔をはじめ、気仙の水、酔仙酒造が自社開発したこうじなどを用いて5月中旬に仕込みを行った。
国内外では、精米歩合50%以下の純米大吟醸といった日本酒が人気を集める中、今回はあえて玄米を磨く量を2割に抑えた純米酒に挑戦。酒造りは順調に進み、6月19日には瓶詰め、25日にはラベル貼りが行われた。
「氣仙川」という名は、戦前に八木澤商店が酒造りをしていた頃に手がけていた銘柄の一つ。昔ながらの手法も参考にした酒造りや、古き良きものに価値を求めるヨーロッパ市場の傾向などを踏まえ、銘柄を復活させた。
価格(税込み)は720㍉入り瓶1本2420円で、店頭はカモシー内にある発酵MARKETのみで販売する。また、同社のイタリア支社「musubu」(小山田美弥子社長)でも取り扱い、ヨーロッパ市場に売り出していく計画。
酔仙酒造の取締役杜氏・金野泰明さんは「甘くするか辛くするか迷ったが、最終的には少し甘さを感じ、米の味や香りが出るものに仕上がった。うまくできたと思う。米がなかなか溶けずに苦労もあったが、やってみて面白いと思った。来年、再来年と工夫しながら造り続けていければ」と話す。
河野代表取締役は「精米歩合80%の酒はいろいろなところで飲み、これまではいい酒と感じなかったが、氣仙川はフルーティーな香りでいい出来に仕上がり、杜氏に感謝している。限られた数だが、ぜひ味わってほしい」と呼びかけている。