1平方㍍当たり4万1000 円 大船渡税務署管内の最高路線価 大船渡町の丸森権現堂線通り 2年連続で前年下回る

▲ 2年連続で下落となった大船渡町字茶屋前の丸森権現堂線通り

 仙台国税局は1日、土地の相続税や贈与税の算定基準となる令和7年分の路線価を公表した。大船渡税務署管内の最高路線価所在地は大船渡市大船渡町字茶屋前の丸森権現堂線通りで、1平方㍍当たりの価格は4万1000円。対前年変動率はマイナス2・4%と前年度に続いて下落し、減り幅は0・1ポイント拡大した。人口減少や少子高齢化が進み、土地の取引が減っていることなどが影響したとみられる。(三浦佳恵)

 

 路線価は、道路に面した土地(宅地)1平方㍍当たりの標準価額。毎年1月1日を評価時点とし、公示地価や不動産鑑定士らによる鑑定評価額などをもとに、公示価格水準の8割程度に定めている。
 大船渡署管内の最高路線価所在地は、東日本大震災前が大船渡町茶屋前通り。津波被災を受け、平成24年から令和2年までは盛町字町の丸森権現堂線通りに変更した。
 現在の所在地・大船渡町字茶屋前の丸森権現堂線通りは、鑑定評価の比較により3年に設定。震災後に市がJR大船渡駅周辺地区で実施した土地区画整理事業区域内にあり、周辺には商業施設や飲食店、公共施設などが立ち並ぶ。
 同年の1平方㍍当たり価格は4万3000円、対前年変動率は県内トップの7・5%となり、同署管内としては6年ぶりに上昇。4、5年は変動がない横ばいが続き、6年は価格が4万2000円と、前年から1000円下落。所在地変更後初めてとなるマイナスに転じた。
 今年は、前の年をさらに1000円下回った。鑑定評価を行った県不動産鑑定士協会の代表幹事は、「人口をはじめ、世帯数、生産年齢人口が減り、不動産需要が少なくなっている。土地取引もあまりなく、地域変化の要因も見られなかったことなどが下落の理由に挙げられる」と分析する。
 県内9税務署管内の状況をみると、上昇した地点は盛岡のみで、横ばいは水沢、花巻、久慈の計3署。大船渡、宮古、一関、釜石、二戸の合わせて5署は下落した。
 代表幹事によると、沿岸部は人口減少や少子化に歯止めがかからないことなどから取り引きが減少。加えて、5年に日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震による浸水想定区域が津波災害警戒区域として指定されたことにより、災害発生に対する意識の高まりからも需要が低下しているという。
 県内で価額が最も高かったのは盛岡市大通2丁目大通りで、1平方㍍当たり価格は23万円、対前年変動率はプラス2・2%となった。
 一方、下落率が最も高かったのは、二戸市石切所字荷渡の市道栃ノ木市民会館線通りでマイナス3・1%。価額は3万1000円だった。
 本県をみると、標準宅地(住宅地、商業地、工業地など継続地点2959地点)の評価基準額による対前年変動率の平均値はプラス0・2%。上昇は3年連続となったものの、昨年から0・4ポイント縮小した。都道府県別の平均値の順位は30位(昨年23位)となった。
 平成30年~令和7年分の路線価図などは、国税庁ホームページ(http://www.rosenka.nta.go.jp/)で閲覧できる。