「大船渡旅行」の消費額増 大船渡観光推進協で報告 6年度実績 来訪者の満足度も上向き
令和7年7月3日付 1面

大船渡市や商工会議所、各種関係団体で構成する大船渡観光推進協議会(会長・渕上清市長)は6月30日、盛町の大船渡商議所で第4回会合を開いた。大船渡に関する観光データ報告によると、令和6年度は日帰り、宿泊者のいずれも、旅行消費額が前年度から増加。ウェブサイトのアクセス件数も増え、満足度も向上している傾向が明らかになった。
同協議会は、一般社団法人大船渡地域戦略(志田繕隆理事長)による候補DMO(観光地域づくり法人)の登録に伴い、官民や産業、地域間の連携や合意形成を図る意思決定機関として一昨年10月に設立。昨年、同法人は登録DMOとなった。
地域戦略に加え、市や大船渡商工会議所、市観光物産協会、県旅館ホテル生活衛生同業組合大船渡支部、県飲食業生活衛生同業組合大船渡支部、大船渡観光バス事業協同組合、㈱キャッセン大船渡の各代表者らで構成。昨年12月以来の会合で、約20人が出席した。
議事では、大船渡の観光データ報告や地域戦略の6年度事業報告などを確認。昨年の市内観光入込客数は65万1000人で前年比2%増となったが、延べ宿泊客数は12万9000人で前年を7%下回った。地域戦略は「修学旅行の需要が減少している」と分析する。
一方、観光物産協会が昨年夏期と冬期に実施した「答えてLuckyアンケート」によると、訪問時の消費額が日帰りは1人当たり1万1933円、宿泊は同4万5783円で、合計では同4万2181円となり、2万円台だった一昨年のデータから大きく伸びた。
宿泊では、3万円以上の実支出者が約7割を占めたほか、10万円超の「高額層」も1割以上見られ、満足度の高い支出を促す仕組みづくりや、幅広い価格帯のプログラム造成の重要性などが浮かび上がる。
また、大船渡市を訪れた観光客を対象とし、同アンケートで実施した満足度調査で「満足」と回答した割合は82・5%で、前年比13ポイント増。さらに、市や観光物産協会の各ホームページ、情報総合サイト「大船渡ポータル」の合計は約47万アクセスとなり、前年度から36%伸びた。
説明の中で、地域戦略の志田理事長は、全体の宿泊者数は減少している半面、関心の高さや消費額、満足度の高さなどから、観光振興のさらなる可能性に言及。そのうえで地域経済のさらなる活性化に向けて「観光による効果がより大きくなる取り組みと、地元住民向けの需要を取り込む〝器用さ〟が大切になってくるのでは」との視点も示したほか、訪日外国人を取り込む重要性にも触れた。
市や観光物産協会、地域戦略などによる各種データの組み合わせに加え、活動の積み重ねで過去の実績と比較しやすくなったことで、議論ではより具体的な旅行需要の創出が話題に。渕上市長も「戦略的に絞り込みがしやすくなり、手の打ち所が見えやすくなってきている」と評価した。