大雨への備え 地区一丸 竹駒町壺の沢 土砂災害・洪水避難訓練を実施(別写真あり)

▲ 災害時のトイレ対策について説明を受ける住民

「シン・オートコール」の応答内容を確認す担当職員

 陸前高田市は6日、竹駒町壺の沢地区で土砂災害・洪水避難訓練を実施した。訓練は令和4年以来3年ぶり。地域住民97人が参加し、避難所開設・運営、炊き出し訓練に臨んだ。市独自の情報伝達システム「シン・オートコール」の応答訓練も行い、デジタル技術を駆使して市民の安否状況などをリアルタイムで確かめられる同システムの手順を確かめた。(高橋 信)

 

 訓練は大雨に伴い、気仙川の水位が上昇し、高齢者等避難、避難指示が発令されたとの想定で行い、壺の沢公民館(菅野安弘館長)に避難所を開設。住民らは和室に集い、女性部が炊き出しとして用意した豚汁やおにぎりを食べた。
 訓練に協力した市防災マイスターの集い(佐藤健会長)の会員9人は、けがを負った際の応急処置や災害時におけるトイレ対策について講話。テント型間仕切りや段ボールパーティションも設置された。
 地元の坂下睦美さん(70)は、自宅に常備しているヘルメットをかぶり、歩いて避難。「トイレのことなどを学び、中身が濃い訓練だったと思う。気仙川がそばにあり、氾濫は怖い。いざという時にすぐに行動できるよう準備したい」と話した。
 シン・オートコールは、事前登録した市民に自動音声で一斉に電話を掛け、避難情報を伝え、電話を受けた市民が安否状況などの質問に応答すると、人工知能(AI)が音声を文字化して災害対策本部に情報が集約される仕組み。市は全国に先駆けて令和5年度に導入した。
 この日は市民や関係者24人に発信し、避難可能かどうか質問。公民館内に設けた地区本部で、市担当者らが回答内容を確かめた。
 菅野館長は「訓練は繰り返し行うことが大切。高齢化が進んでおり、今後はソフト・ハード両面の充実も求められる」と強調した。
 佐々木拓市長も訓練開始時点から参加し、一連の様子を視察。「市民が大勢参加し、意識の高さを感じた。防災マイスターの集いや幹部交番などの関係者にも参加していただき、意義深い訓練を実施できた。これからも市民の安全・安心を守るため、必要な備えを訓練を通じてみんなで確かめたい」と総括した。