〝再開の道〟じっくり堪能 三陸ツアーズ 綾里峠コースでトレイル(別写真あり)

▲ 不動滝付近を巡る参加者

 大船渡市盛町の岩手開発産業㈱(志田繕隆社長)による地元密着型旅行サイト・三陸ツアーズは6日、三陸町綾里から赤崎町を目指す「綾里峠トレイル」を開催した。大規模林野火災の影響を乗り越えて通行可能となったルートを巡り、参加者は木々や地表部に残る火災の爪痕を目に焼き付け、多彩な魅力にあふれる風土の魅力も体感した。
 三陸ツアーズは本年度も、市内77㌔のルートを10回程度に分けて歩く「おおふなトレイル」を企画。この企画とは別に、この日は綾里・赤崎ルートの復興応援として開催し、県内外から8人が申し込んだ。
 三陸鉄道綾里駅に集合し、同陸前赤崎駅をゴールとする約9・2㌔で実施。山道がメーンで標高差が約500㍍あるが、初心者を含め幅広い世代が歩きやすいコースを巡った。
 綾里の不動滝周辺では、焼け焦げた木々のそばを歩き、改めて被害の大きさを実感したほか、残る木々から広がる緑色の景色や、沢水がもたらす爽快さを堪能しながら歩みを進めた。ルート沿いの景観だけでなく、三陸町越喜来の民宿・恵比寿丸が担当した「お昼軽食」も楽しんだ。
 釜石市から参加した山田裕子さん(64)は「このルートを歩いたのは初めて。前のように戻るにはどれくらいの時間がかかるか分からないが、歩くことで見守りたい」と話していた。
 今回のツアーでは、地域とハイカーがトレイルルートを守り育てる機運を醸成していこうと、一部区間で火災後に繁茂が一層進む外来種・マルバフジバカマの草取りなども行った。
 さらに、ツアー代金の一部は、トレイル全線のメンテナンス資金として寄付する。今後も、被災ルートを含むコースで安全面に配慮しながらトレイル企画を検討することにしている。
 大規模林野火災の影響で通行止め措置が続いた三陸鉄道三陸駅~盛駅のトレイル区間は、先月9日から通行可能となった。国内外のハイカー来訪や交流人口増加の期待が集まるが、樹木の焼損など林野火災の影響は残っており、安全に留意した通行を呼びかける。