「宙炭」の普及・拡大を TOWINGや町など 6者連携で取り組み本格化へ

▲ 包括連携開始を記念して行われたテープカット

 高機能バイオ炭「宙炭」(そらたん)の製造・販売を手がける㈱TOWING(愛知県、西田宏平代表取締役CEO)と住田町、同町の㈲気仙環境保全、大船渡市農協、JA全農いわて、JA県信連の6者による、宙炭の普及に関する包括連携開始式は8日、同町役場で開かれた。同町で製造された鶏ふんを主原料とし、土壌改良効果などが期待される宙炭の普及・拡大へ6者が連携し、持続可能な農業システム実現を目指していく。(清水辰彦)

 

 バイオ炭は、もみ殻や家畜のふんなどを炭にしたもので、TOWINGではバイオ炭に微生物を定着させた土壌改良剤として、宙炭を製造・販売している。
 宙炭を土に混ぜ、野菜くずや落ち葉などの有機肥料を加えると、微生物が効率よく分解して栄養をつくり、豊かな土ができる。通常は3~5年かかっていた農地の改良を、1カ月ほどに短縮することが可能で、遊休農地の復活にも効果が期待される。
 同町ではバイオ炭の原料となる鶏ふんが多く排出されており、上有住地内に施設を構える気仙環境保全が鶏ふん炭を製造し、農業で活用されている。
 TOWINGはこのほど、世田米地内に「岩手プラント」を整備し、今年4月から試験的に稼働している。これに先だって3月25日には6者が包括連携協定を締結。協定に基づき、▽住田町の宙炭製造プラントの設置運用、鶏ふん炭を活用した宙炭の製品化▽農地への実証導入試験の提案・推進▽宙炭由来のカーボンクレジットの創出や販売▽単位農協の組合員等に対する宙炭の効果的かつ持続的な普及推進に向けた施策検討──を進めている。
 包括連携開始式には関係者ら合わせて約40人が出席。はじめに、西田CEOはCO2排出量、食糧自給率、肥料自給率などの課題を挙げ、「サステナブルな農業の起点になるのが、この高機能バイオ炭。この場所で、日本、世界の見本となるような、持続可能な食料生産拠点、地域をつくっていきたい。この開始式がスタートライン。引き続き支えていただければ」とあいさつ。
 神田謙一町長、気仙環境保全の大和田国弘代表取締役、市農協の猪股岩夫組合長、全農いわての佐竹雅之副本部長、県信連の工藤孝志代表理事専務も、それぞれ宙炭を活用した農業振興などへ期待を込めた。
 町とTOWINGでは令和6年度から宙炭の実証試験を展開。町内農業者の協力を得て宙炭を用いた栽培と従来の農法による栽培を行い、その結果、排水性や保水性、通気性など土壌改良効果が確認された。
 また、宙炭は本来であれば廃棄・焼却される植物の残りかす、家畜のふん、下水汚泥などを材料とするため、焼却による二酸化炭素の排出量を減らすことができる。材料を炭化させている性質上、二酸化炭素の固定や吸収効果にも期待できるため、J─クレジット発行の対象となる。
 住田町でのプラント整備は、全国2カ所目で、東北では初。今後、岩手プラントを起点に東北地方の農家に向けて商品を供給していく。プラントで製造する宙炭は主原料を鶏ふん炭とし、もみ殻も用いる。原料が異なる宙炭を農地によって使い分ける。プラントの本格稼働は今年秋ごろを見込んでおり、地元住民を雇用していく。
 今回の開始式を契機に、各者連携による宙炭の普及・拡大が本格的にスタートする。