2025住田町長選/現職・神田氏が3選 前回選に続く無投票で〝決着〟 次世代につなぐまちづくりに意欲

▲ バンザイで3選を喜び合う神田氏㊥と後援会幹部ら

 任期満了に伴う住田町長選は15日、告示された。立候補を届け出たのは現職の神田謙一氏(66)=下有住=のみとなり、令和3年の前回選に続く無投票で3度目の当選が決まった。3期目は8月5日(火)からスタート。人口減少に起因する課題が山積する中、神田氏は行政と地域が一丸となって立ち向かい、未来へとつなぐ持続可能なまちづくりに取り組む意欲を示している。

 

 昭和30年の町制施行から数えて19回目となった今町長選は、8月4日(月)の任期満了に伴うもの。立候補届け出の受け付けは15日午前8時30分から、町役場町民ホールで行われた。
 受け付けには、神田氏の代理人2人が出席。届け出を済ませると、街頭演説用標旗や腕章といった選挙の「七つ道具」を受け取った。
 その後、下有住中上の選挙事務所前で同9時ごろに第一声。台風の影響で雨が降りしきる中にもかかわらず、約70人の支持者が集まった。
 総括責任者の泉金一後援会会長は、「住民生活の基本である医・食・住の充実を掲げ、町政運営に取り組んでいる」と神田氏の実績に触れながら、「ともに住田の明るい未来を築いていきたい」と支持を呼びかけた。支持議員の一人である佐々木春一町議会議長も応援のマイクを握った。
 神田氏は1期目から取り組む医・食・住の各種施策の実績をPRしながら、「全国で人口減少、少子高齢化が叫ばれているが、足元を見て考えていただきたい」と語りかけ、地方と都市部の食糧自給率を比較し「地方なくして都市部はない。食べ物がなければ、生命の維持はできない。それを維持できるのは地方。それが私たちのふるさとの力だ」と力を込めた。
 そのうえで「人口が減ることを悲観するのではなく、今ある資源を掘り起こしながら地域の再生を図っていきたい。次期4年間、あるべき地方の姿を国にもしっかり話し、『地方は頑張るぞ』と声を上げていきたい。次の4年間も私を支えていただけたら」と訴えた。同9時30分ごろ、神田氏は盛大な拍手を受けながら選車に乗り込んで町内の遊説へと出発し、全域で訴えを響かせた。
 締め切りの同日午後5時までに神田氏のほかに届け出はなく、同氏の無投票当選が決まった。町選管から、無投票になった旨の一報が入ると、事務所に集まった約50人の支持者からは大きな拍手が沸き起こった。
 事務所に姿を見せた神田氏は、木工2事業体問題や新型コロナウイルス対応など2期8年を振り返り、町民の理解に感謝を示した。そのうえで、地方を取り巻く人口減少問題について触れ「(住田を)未来、次世代にどうつないでいくか。行政だけではなく、地域の皆さんと知恵を出し合いながら共通認識のもとで地域をつくっていく、いわゆる自治の原点に立ち返ることが重要。魅力ある、誇りを持てる住田町を子どもたちに託していきたい」と意欲を見せた。
 神田氏への当選証書付与式は22日(火)午前10時から、町民ホールで行われる。

 

神田氏の略歴・公約

 

 ◇略歴 下有住出身。日本獣医畜産大学大学院修士課程修了。昭和59年に住田町農協に入り、合併した陸前高田市農協を経て、平成19年に住田フーズ㈱取締役生産部長、24年に同社常務取締役に就任。29年、町長選に出馬して初当選。現在2期目。昭和34年1月13日生まれ、66歳。下有住字中上128。
 ◇公約 ▽保健・医療・福祉・介護連携体制推進による安心の町づくり▽地域内付加価値創造の取り組みの推進▽自治公民館を中心とした活動を支援し、共助による共生の町づくりの推進▽若者や女性などまちづくり人材の育成──。