町長選で3度目の当選 神田謙一氏に聞く
令和7年7月19日付 1面

8月4日(月)の任期満了に伴う住田町長選で、令和3年の前回選に続き無投票で3選を果たした神田謙一氏(66)=下有住。人口減少を根本とするさまざまな課題が山積している3期目のスタートを前に、町政運営への思いを聞いた。(聞き手・清水辰彦)
「総合計画の着実な推進を」
──無投票で3選という結果はどう捉えているか
神田 無競争ということで、町民の評価はどうなのか、不満がある人もいるだろう──と考えたりもしたが、そうした中でも対抗馬が現れなかったというのは、この2期8年を一定程度、評価していただいた結果ではないか。
告示日に町内を遊説する中で、雨にもかかわらず家の外に出てきて手を振ってくれる人、駆け寄ってくれる人もいた。そうした町民の姿を目にすると、改めて気が引き締まり、町長の責任というものを再認識して取り組みを進めなければと感じた。
──2期8年を振り返っての総括を
神田 一番大きいのは、個人的には「住民理解」を得られたことだと思っている。ハコモノを造ったとか、何をやったとか、目に見える形を求めるのが一般的だと思うが、財政健全化などの取り組みが浸透し、理解していただけたのかなと思う。
医療分野で言えば、県立大船渡病院が2市1町で運行する「ドクターカー」も実績の一つかもしれないが、医療・介護・福祉・保健の中心となるドクターがいないと根本の問題解決は難しい。そこは課題として残っている。人口減少社会における医療のあり方、医師偏在など、今後ますます人口が減っていく中において、住民の命をどう守るか。そこは政府、行政の責任として取り組む必要があるので完結しておらず、まだまだ取り組んでいきたい。
──まもなく新任期に入る。今後の住田町の課題は
神田 住田に限らず、地方には人口減少、少子高齢化という課題があるが、これはいったん受け入れなければならない事実。そのうえで、本年度スタートした新たな総合計画ではこれまでの「医」「食」「住」に加えて、4本目の柱として「地域経営」を盛り込んでいる。日本の、地方の本来持っている力を生かし、住民と知恵を出し合いながら、共通認識に立ちながら地域をつくっていきたい。
総合計画は、できる限り達成・完結させるという意気込みで、地域とともに取り組んでいく。
──3期目の抱負を
神田 国や都市部に訴えていきたいことがある。地方消滅という言葉があるが、令和の米騒動と言われている中で、命を守るためには食料が不可欠。食料自給率の高い地方がなければ都市部の生活は成り立たない。それを都市部の方々に認識していただき、地域、地方は食料生産基地としてしっかり食べていけるんだと、そういう力があるんだということを国の方にも話をして、地方の存在意義を国政にも生かしていただきたいということを、特にも訴えていきたい。
──次任期の4年間だけでなく、今後5年、10年先の展望は
神田 新総合計画が5年後、10年後を見据えたものとなっており、計画の中で重点的・分野横断的に取り組むべきプロジェクトを掲げている。
人口が減っていくのは分かっており、回復は厳しい現状にある。人口減・少子高齢化の先進地として、さらに人が減っていった時に行政機能をどうしていくのか。その土台を今、つくっておかなければならない。女性も含めた若者が、政治、教育など将来について考える「若者会議」的な集まりも設けていきたいと考えている。