3度目の全国へ「楽しく指す」 県高校将棋大会女子個人A級で準V 日将連大船渡支部の中谷さん(南昌みらい高2年)

▲ 県準優勝で3度目の全国大会に挑む中谷さん。二段の免状(手前)も届き「楽しく将棋を指す」と笑顔で語る

 日本将棋連盟大船渡支部(平山敏夫支部長)に所属する大船渡市立第一中出身の中谷天音さん(南昌みらい高2年)が、盛岡市でこのほど開かれた第47回県高校将棋大会(県高文連など主催)の女子個人戦A級で準優勝し、全国大会への出場権を手にした。3月に二段への昇段を果たした中、3度目の全国切符をつかんだ中谷さんは「結果も大事だが、まずは楽しんで将棋を指したい」と自身の原点に立ち返り、さらなる活躍を誓う。(菅野弘大)

 

 中谷さんは昨年度、同大会で準優勝、県高校文化連盟新人大会で優勝を飾り、2度の全国舞台に挑んだ。7人が出場した今大会の女子個人戦A級では、トーナメント初戦を勝利し、1位決定戦は、良きライバルで何度も優勝をかけて勝負してきた畠山史子さん(一関一高3年)との一戦となった。
 飛車を中央に振る攻撃的な戦法「中飛車」を得意とする中谷さんだが、盤面は早いうちから攻め合う「急戦」の様相を呈した。〝中飛車つぶし〟とされる有効な対策を取られ、主導権は徐々に畠山さんへ。そのまま押し切られ、優勝を逃した。「急戦に対する知識も薄く、向こうのペースに乗せられてしまった。もっと落ち着いた読みができていれば、対応の仕方も工夫できたと思う」と悔しさをにじませた。
 2位決定戦では、小学時代から知る仲の佐々木まいさん(盛岡二高2年)と対戦。2位までが全国に出場できるとあって「絶対に全国に行きたい」と強い気持ちで臨み、「振り飛車」の戦法で挑んできた相手に攻め入る隙を与えず、対局を制した。「1位決定戦では負けたが、気持ちを切り替えて落ち着いて指せた」と3度目の全国出場を喜んだ。
 小学3年生で将棋の楽しさに目覚め、同6年生で移り住んだ大船渡市では、日将連公認気仙将棋企画の教室に通って棋力を高めた。大船渡を離れた現在も、同教室に週1回ペースで通い、平山支部長から指導を受けるほか、通学や自宅での時間を活用して日々の練習を重ねている。
 今年3月には、公認指導員である平山支部長の推薦により、目標としていた二段への昇段を果たした。藤井聡太竜王・名人自筆の署名などが入った日将連が発行するアマチュア正式免状も手元に届き「本当に自分が二段になっていいのか」と謙遜しつつ、「とてもうれしい」と笑顔を見せた。
 長年指導する平山支部長も「本人の努力はもちろん、それを支える家族のサポート姿勢も素晴らしい」とたたえ、さらなる上達に期待を込めた。
 全国大会に出場するまでの実力をつけた中でも、自身の根底にあるのは、将棋の楽しさに魅了された小学時代の経験と記憶だ。「明確な目標というよりも、一番は楽しんで将棋を指したい。そのうえで、勝利という結果がついてくればいい」と見据える。
 中谷さんが出場する全国高校将棋選手権大会(全国高総文祭将棋部門)は、今月29日(火)に香川県で開幕する。