大船渡病院で産後ケア 気仙3市町の母子受け入れ体制が拡充 育児による心身面の負担緩和へ
令和7年7月24日付 2面

出産後における母親の健康保持などにつなげる産後ケア事業が今月から、気仙3市町の委託を受けて県立大船渡病院(星田徹院長)でも行われている。大船渡市内では2カ所目で、同病院では陸前高田市と住田町の母子を含め定期的に受け入れる。産後ケアの体制拡充により、各市町ではきめ細やかな子育て環境充実を見据える。
産後ケア事業は、誰もがより安心・安全な子育て環境を整備するため、産後に心身の不調や育児不安等がある者に限らず、支援を必要とする全ての人が利用できるよう、国でも法的な位置づけやガイドラインの見直しを行うなどして推進。気仙3市町でも、母親の産後の休息や疲労回復、授乳や育児の相談に関するニーズが高まっている。
大船渡病院では大船渡市に加え、陸前高田市と住田町を含めた3市町を対象に産後ケアを受け入れる。産後4カ月未満の乳児とその母親が対象。助産師らにより、母親への身体的ケア、適切な授乳ケア、心理的ケア、育児についての相談や指導などを行う。
1日あたり1組で、陸前高田市は第3木曜日、住田町が第3火曜日。大船渡市は今月から毎週木曜日(第3木曜日は除く)で、8月以降は毎週火曜日(第3火曜日)も実施する。
大船渡市では6月まで、盛町にある刈谷ハイツCで受け入れ、月1回3組が上限だった。母親に対しては乳房ケアやマッサージに加え、入浴、昼寝の時間などを確保。5カ月未満の子どもに関しては体重測定や沐浴、発育・発達状況の観察を行い、育児相談や授乳・沐浴の練習にも対応してきた。
日帰りで、料金は無料だが、昼食代は別途徴収。市では「少ないととらえてきたが、受け入れ先が課題だった」とする。
産婦健診やこれまでの妊産婦相談等を踏まえて支援が必要と認められる家庭には、市から利用を積極的に呼びかけている。当日の健康状態なども含めてキャンセルが出る日があったものの、ほとんど予約で埋まる状態が続いてきた。
刈谷ハイツCでの産後ケアは今後も継続し、大船渡病院での受け入れ開始により、市民の受け入れ上限は7月から月4回6組に増える。8月以降は月7回9組までと、6月以前までの3倍に充実する。
住田町ではこれまで、産後ケア事業は行われていなかった。陸前高田市では「ままふわり」として、市内に住む1歳未満の子とその母親を対象に、市保健福祉総合センターで月2回実施。日ごとに整体、ヨガ、ハンドケア、ランチ会を企画し、栄養士、保育士、助産師などの専門職に、子育てに関する悩みを気軽に相談できる。両市町とも、産後ケアの機会拡充による子育て支援充実を見据える。
申し込みは各市町で対応し、事前連絡・予約が必要。大船渡市はこども家庭センター(サン・リア内、℡47・5200)陸前高田市は福祉部保健課母子保健係(℡54・2111)、住田町は保健福祉課(46・3862)で対応する。