返金 一部遅延が判明 5月の三陸花火開催見送りで チケット購入者から憤りの声
令和7年7月26日付 7面

5月4日に予定していた陸前高田市の三陸花火大会(実行委主催)が開催見送りとなった問題で、観覧チケットを購入した人への返金が一部滞っていることが分かった。返金が済んでいない人数や全体の未払い額は現時点で不明で、購入者からは「誠意を感じない」と憤りの声が上がる。次回の開催を望む市民や事業者もいるが、その大前提として、返金を待つ人への真摯な対応が実行委には求められる。
宮城県の50代女性は、有料駐車券の代金を含め、2万2000円のペアシートチケットを購入したが、まだ返金されていない。
この女性によると、開催見送り決定後の4月下旬から5月上旬にかけて、実行委から返金手続きのためのメールを受け取り、振込先の口座番号などを記入してすぐに返信。その後進展がなく、市などに問い合わせた。実行委からは今月上旬になって、「振り込みが今月15日にずれ込む」とのメールが届いたという。
しかし、15日を過ぎても指定した口座に振り込まれておらず、困惑している。過去に2度、三陸花火を観覧し、5月も夫と一緒に花火を見るのを楽しみにしていたという。
女性は「どのような状況なのか全く分からず、誠意を感じない。主催者には表に出てちゃんと説明してもらいたい」と求める。
市内の宿泊事業者は、宿泊とのセットで販売するため4人席チケットを5組分購入。今月初旬に実行委から全額返金された。
担当従業員は「『きょう返す』と何度も言われながら返金されず、ようやく入金された。万が一、戻らなければ会社の損失となり、私の責任問題になると思っていた。まだ返金されていない人もいるらしいので、そちらが心配」とおもんぱかる。
5月の三陸花火は、実行委の資金不足を理由に、本番まで2週間を切った4月下旬に開催見送りが決まった。高田松原運動公園に設ける有料席の購入者は約1700組で、大会ホームページには「代金は全額返済する」と記載している。
実行委はこれまでに、払い戻し手続きなどを進めるため、購入者に対して今月末を回答期限とする案内を出している。返金を申し込んでいるのは、少なくとも800組程度いる模様で、このうち、一部購入者には返金時期について「6月末」「今月15日ごろ」などと示していたが、返金されていない人がいる。
24日に東海新報社の取材に応じた佐々木拓市長は「まずなぜこのような状況になっているのか、資金面の透明性を確保したうえで明確に説明してもらわないと前に進まない。中止となった今回のような事態を二度と招かないようにするという視点を最優先に考えることが重要だ」と話している。