市こども家庭センター開設1年 幅広い層に定着 交流広場…1年間で5.5万人利用 相談対応…女性分野伸び前年度比増
令和7年7月26日付 1面

大船渡市が盛町のサン・リアショッピングセンター内に整備した市こども家庭センター「DACCO(だっこ)」は、今月で利用開始から1年を迎えた。屋内公園として多彩な遊具などを取りそろえた交流広場は、1年間で5万5000人超が利用し、市の想定を大きく上回った。6年度の相談件数も前年度比で約2割増え、特に生活面などで困難に直面する女性相談が伸びるなど、幅広い層が出向きやすい空間として定着しつつある。市は今後も、交流広場の過ごしやすさや、対面相談のさらなる充実を見据える。(佐藤 壮)
市こども家庭センターは、子ども・子育て支援の強化が求められる中、行政機能と交流機能を併せ持つ施設として開設。交流広場は昨年7月14日から開放し、相談対応を含めた行政機能は同16日から本格化した。
交流広場の面積は265平方㍍。小学校低学年までが利用できる遊具や玩具に加え、おむつ交換台やベビーベッドも備えている。
市によると、交流広場は今年7月13日までに5万5133人が利用。当初は年間で1万人を見込んでいたが、開設から40日で到達し、想定を大きく上回る利用が続く。
平日は1日平均50~100人が訪れ、休日は300人を超える日も。天候にかかわらず屋内で快適に過ごせるほか、雨天時でも立体駐車場から傘をささずに入ることができるなど、サン・リアの機能を生かした利便性も好評を博している。
開設当初からある遊具だけでなく、広場内の柱を生かし、職員らの発案で始めた「ぬりえコーナー」も人気を集める。市立図書館から本を借りて展示しているほか、乳幼児の健康相談会場となるなど、利用の幅が広がった。親子連れはもちろん、祖父母が孫と一緒に過ごす光景も定着した。
行政機能では、一体的な相談支援体制の構築や子ども・子育てに係る各種手続きの窓口一元化に加え、子ども本人や子育て世帯などが気軽に相談できるよう、市役所本庁舎と市保健センターに分散していた事務室を移設した。相談室は行政機能のスペースに2室、交流広場内には多目的室を兼ねた1室を確保し、いずれも個室になっている。
相談環境に関しては、整備前の議会議論で「人目につきにくい方が相談しやすいのでは」といった指摘が寄せられていた。主に市役所内で対応した5年度の相談件数は390件だったが、こども家庭センター開設時期を含む6年度は462件に増えた。
これまで母子相談や家庭児童相談などに対応し、6年度は特に、困難に直面する女性の相談が増加。同センターでは要因として、さまざまな層の住民が訪れる商業施設内の立地によって来訪時に一般客のような〝溶け込みやすさ〟があり、相談に出向きやすい雰囲気を挙げる。相談者からは「もっと早く相談すれば良かった」「こういったことも聞いていいとは知らなかった」といった声が寄せられているという。
交流広場は、混雑する時間帯も見られ、今後は動線をより分かりやすくするといった対応を見据える。遊具の維持管理に加え、さらなる機能充実には財源確保が求められる中、企業版ふるさと納税による寄付に向け、アピールを続ける。
市は昨年9月に「こどもまんなか応援サポーター」として、子育てにやさしいまちの実現に向けた取り組みの推進を宣言。本年度は、サン・リア内で県内初となる「『こどもまんなかアクション』リレーシンポジウム」の開催を予定する。
市全体で進める「書かない窓口」など、訪れる住民がスムーズに手続きできる環境づくりを進める一方、相談では、専門職員が各地に出向く形も含めた「対面」を重視する。同センターの川内利誉所長は「保護者らのご協力により、多くの方々が快適に交流広場を利用している。引き続き、相談体制も含め充実を図る」と語る。