高まる期待・歓迎ムード 新造客船の「飛鳥Ⅲ」8月3日大船渡入港 東北初、林野火災の〝お見舞い〟も
令和7年7月29日付 1面

8月3日(日)に予定されている「飛鳥Ⅲ」(5万2265㌧)の大船渡入港に向け、大船渡市内では期待と歓迎ムードが高まっている。今月就航した新造船で、東北では初の寄港地に選ばれた。市などでは盛大な出迎えを準備し、「飛鳥Ⅲ」側は大規模林野火災の〝お見舞い〟も計画。当日、接岸する大船渡町の野々田埠頭は一般住民も来場でき、入出港時には林野火災の復旧・復興に呼び込むにぎわいが期待される。(佐藤 壮)
郵船クルーズ㈱(本社・神奈川県)の「飛鳥Ⅲ」は、今月20日に就航した。船籍港は横浜港。全長230㍍で、全幅29・8㍍。客室数は全室海側バルコニーの381室で、乗客数は740人。10月までのオープニングクルーズに、大船渡を寄港地とする日程が組まれた。
8月1日(金)に横浜港を出発し、2日(土)は終日クルーズを予定。3日は大船渡に午前7時に入港し、午後5時に出港する。4日は横浜で花火観覧などを予定している。
市では歓迎ムードを高めていこうと、ポスターを100部作成し、乗船客の来訪が予想される大船渡町の商業施設や碁石海岸の観光施設などに配布。市に加え、大船渡港振興協会も実施主体となって受け入れや歓迎行事の準備を進めている。
入港当日は午前6時ごろから、鎌田水産㈱の協力で大型サンマ船3隻が湾内から野々田埠頭までを先導し、歓迎ムードを演出。接岸に合わせ、岸壁では、市民らによる歓迎の舞として定着している『御祝い』を披露し、「飛鳥Ⅲ」のために新たに制作した大漁旗をなびかせる。大船渡東高校太鼓部の演奏も行われる。
埠頭内では、観光案内所を開設。約10事業者による物産販売や日本酒試飲コーナーに加え、タクシーの予約受け付けにも対応する。
午前9時からの入港歓迎セレモニーでは、市長や県知事のあいさつに加え、おおふなと特別観光大使委嘱状の交付も。また、船名と同じ名前であり、鮮やかな色彩や大胆な構図で多くの人々を魅了する陸前高田市横田町在住の画家・田﨑飛鳥さんから、絵画の寄贈も行われる。
午前11時には、乗船客ら向けに、サンマやホタテを提供する「海産物ふるまいコーナー」を設ける。乗船客には東北初寄港を記念し、特別パッケージの「かもめの玉子ミニ」2個入りを土産品としてプレゼントする。
午後4時の出港セレモニーでは、住田町の五葉山火縄銃鉄砲隊による演武から猪川町の前田こども鹿踊りと続き、出港では合わせて黄色いハンカチを振りながら送り出す。
現在も運航している「飛鳥Ⅱ」も、おおふなと特別観光大使に委嘱されており、これまで23回入港。14年前の東日本大震災直後には、復興支援も込めて入港し、被災地を元気づけた。
「飛鳥Ⅲ」の入港日程は、大規模林野火災発生前には固まっていたが、入港に合わせ、郵船クルーズの意向で「お見舞いの会」が計画されている。住民らに勇気や希望を届ける思い出深い入港となりそうだ。
入港当日に来場した一般住民向けには、先着順で乗船客向けの土産品や歓迎用の手旗を無料で配布。埠頭への入場は「Bゲート」の1カ所のみで、徒歩で入る。駐車場はキャッセン大船渡などを利用する。
市では「多くの人々による歓迎・見送りで盛り上げていきたい」とし、多くの来場に期待を寄せる。