猛暑と水不足に危機感 気仙のコメ農家 病害虫対策の徹底にも迫られ
令和7年7月30日付 7面

猛暑と少雨の日が続く気仙地方で、コメ農家が水稲への水不足の影響を懸念している。この時期から入る出穂期とその後の開花期は、水稲の生育で特に水が必要な期間というが、生産者は「雨の日が全くなく、今後も水が足りなくなるのでは」と不安を募らせている。高温を要因とする病害虫の対策も必要で、気をもむ夏となりそうだ。(高橋 信)
快晴に恵まれた29日の気仙地方。陸前高田市竹駒町十日市場の水田では強い日差しを浴び、青々とした水稲がすくすくと育つが、生産者の佐々木輝昭さん(40)の表情はいまひとつ晴れない。
「田んぼの水がもう蒸発して乾いている。また水を入れないと」。2、3日前に水を入れた水田の乾燥気味の土壌を見つめ、そうつぶやいた。
佐々木さんによるコメの作付面積は、借りている水田を含めて約1・3㌶。一帯は、気仙川から取水する農業用水を使用しており、水を必要とする出穂期を迎えることから、農地の水を適切に保つ「湛水管理」を徹底したいというものの、「なかなか難しい」と猛暑と水不足を嘆いた。
市のふるさと納税返礼品にも登録している自慢のコメ。「水不足や高温は収量だけでなく、品質にも大きく関わってくる。暑い日が続いているが、せめて雨が降る日が小まめにあるといい」と空を見上げた。
県は25日、水稲の出穂予測と今後の水管理に関する情報を発表。県内の水稲は高温の影響で平年より1日早く生育が進んでおり、出穂期は平年比3日早めの29日ごろに迎えると示した。
出穂・開花期の水管理は、浅水での湛水管理を基本とすると推奨。その後の登熟期に河川などから供給される水を十分に確保できない場合は、足跡に水が少したまる程度に土壌の湿潤状態を保つような管理を呼びかけている。
また、県病害虫防除所は28日、斑点米カメムシ類の多発が予想されるとして、病害虫発生予察情報注意報を出した。15~25日に県内41のほ場で実施した調査の結果、斑点米カメムシ類の発生率は36・6%(平年13・6%)、平均虫数が8・4頭(平年2・2頭)で、平年をかなり上回っており、防除対策の徹底が求められている。
盛岡地方気象台によると、8月5日(火)までの向こう1週間、沿岸部の天気は曇り時々晴れの予報。2週間気温予報は最高・最低気温ともにかなり高めの日が多く、引き続き、厳しい暑さの日が続きそうだ。
陸前高田市農林課の大和田智広課長補佐は「気仙川の水位を毎日確認するのが日課となるほど、異常な暑さと記録的な少雨が続いている。病害虫の発生も懸念され、雑草のまめな除草、適時適切な防除対策を啓発していきたい」と話す。