住宅再建へ相談本格化 大規模林野火災 市などが支援制度説明会 土砂災害特別計画区域への不安も

▲ 市役所地階大会議室で開かれた支援制度説明会。8月4日は綾姫ホールで開催される

 県と大船渡市、住宅金融支援機構による大規模林野火災の被災者を対象とした住宅再建支援制度説明会は29日夜、市役所で開かれた。火災に伴う新たな支援制度だけでなく、住宅建築に関連するさまざまな助成メニューが示され、個別相談の時間も設けられた。住宅再建への相談が本格化した一方、被災した土地が土砂災害特別警戒区域に入っているケースもあり、個別相談に臨んだ住民からはさまざまな不安が寄せられた。説明会は、8月4日(月)午後7時から綾里の綾姫ホールでも開催される。(佐藤 壮)

 

 説明会には、自宅が被災した住民約20人が出席。報道陣には非公開で行われた。市などによると、各担当者が住宅の新築・購入や補修に向けた支援策や融資制度を説明したという。
 このうち、市による被災者住宅再建支援事業は、林野火災で住宅を焼失した人が10立方㍍以上の県産材を使用して市内に事業所がある業者が施工する住宅再建に対し、最大100万円を補助する独自策。浄化槽設置整備事業は一般住宅建築でも活用できる制度で、上限は5人槽では39万円、7人槽では47・4万円、配管費用は30万円となっており、通常枠に加え、被災者枠を設けていることなどが示された。
 また、補修のための支援として、応急修理制度を利用しない場合は上限15万円を助成する被災住宅補修補助金や、断熱性の向上が含まれる改修工事を支援する住宅省エネリフォーム助成事業も紹介。今年12月までが期間となっている災害援護資金の貸付制度なども示した。
 県側は▽いわて木づかい住宅普及促進事業(県産材使用)▽住みたい岩手の家づくり促進事業(省エネ、バリアフリー)▽いわてZEH+(ゼッチプラス)住宅等普及促進事業(断熱等性能等級6・7)──などを示した。住宅金融支援機構の担当者は、災害復興住宅融資の限度額や返済方法を解説した。
 全体説明に対する質問はなく、個別相談に移った。「自分の年齢で、住宅ローンは組めるのか」など、日頃抱いている不安や悩みを担当職員らに打ち明け、アドバイスを求めた。
 個別相談を終えた参加者の一人は「自分の土地が土砂災害警戒区域なのか、土砂災害特別警戒区域かがあいまいで、その相談に来た。後日、確認することになる。そのままの状態で建てられるのかや、土地の評価も気になる」と語った。
 被災した場所が土砂災害特別警戒区域に該当している人に対し、市は個別に「お知らせ」を送付している。同区域は、建物の構造の安全が確認された場合を除き、住宅を建築することができない。個別相談を行わなかった参加者でも、同区域について説明したカラー印刷のチラシを受け取る姿が見られた。
 別の参加者は「さまざまな支援があってありがたい」としながらも「1人暮らしであり、地元を離れての生活を考えている。その際の支援制度や、土地の処分ができるのかが気になっている」と話した。
 来年春の住宅再建着工を目指し、補助制度などを聞いたという親子は「住宅よりも先に、倉庫を建てないといけない。農機具や船外機を外に置いておくわけにはいかない。確認しないといけないことはたくさんあり、市役所には結構通うことになると思う」と打ち明けた。
 説明会は8月4日(月)午後7時から、三陸町綾里の綾姫ホールでも開催。9月以降も、隔月で相談会が開催される見込み。説明会の会場では、どのような専門家に相談したいかなど、ニーズ把握のアンケートも行う。市側は、8月の盆時期に帰省した親族も含めて再建策などを話し合う際の参考にするといった活用にも期待を込める。
 問い合わせは、市住宅管理課(℡27・3111内線321)へ。