盛夏彩る1300人超の群舞 三陸・大船渡夏まつり道中踊り 「復興祈念」思い乗せて(別写真あり)
令和7年8月3日付 1面

大船渡市の「三陸・大船渡夏まつり」は2日目の2日、大船渡町の茶屋前岸壁付近でメイン行事が繰り広げられた。県道丸森権現堂線などを舞台とした市民道中踊りは近年、参加者の減少が続いていたが、今年は前年の約1・5倍となる1300人超が舞を披露。大規模林野火災、津波、猛暑と苦難が続く中、踊り手や沿道に詰めかけた市民らは、笑顔を交わしながら湾岸に復興と活気を呼び込んだ。(佐藤 壮)

ステージイベントで躍動感あふれる太鼓演奏を披露した「天道虫の会」(1日)
「海の祭典」とも呼ばれ、大船渡の夏を代表する一大イベントとして親しまれている同まつりは、市内の行政や事業所、各種団体の関係者らで構成する実行委員会(米谷春夫委員長)が主催。東日本大震災が発生した平成23年は中止したが、24年には再開し、国内外からの支援に対する感謝と、復旧・復興の歩みを発信してきた。
令和2年は新型コロナウイルスの影響でまつり自体が中止。3年は規模を縮小し、海上七夕船による湾内巡航と花火大会を行った。4年から臨港道路で市民道中踊りが復活し、一昨年から県道が中心となっている。
市民道中踊りはかつて、2800人が参加した年もあったが、昨年は約900人にとどまった。今年に入り、実行委では「従来以上ににぎやかなものにしたい」と、1000人規模の復活に向けて協力を呼びかけた。
実行委の思いに賛同し、近年見合わせていた事業所の〝復活〟に加え、毎年参加している事業者では協力企業にも呼びかけて例年以上の人数を確保する動きも。まつり開催前には29団体、1318人が申し込み、コロナ禍以降では最多となった。
踊りの舞台は、キャッセン大船渡沿いの県道約300㍍だけでなく、参加者増を受けて夢海公園につながる道路も追加。保育園児や市内事業所の外国人研修生、県外在住者も見られるなど幅広い層が集まり、湾岸の中心市街地は色鮮やかな衣装にあふれた。
涼風が舞い始めた午後6時15分から、『気仙甚句囃子』『おおふなと椿音頭』の2曲に合わせ、笑顔にあふれる群舞と、60人規模での生演奏が繰り広げられた。参加者は汗を浮かべながら踊り歩いて活気を呼び込み、海上七夕船の湾内巡航との競演で魅せる花火大会と続いた。
2日は昼ごろまでは降雨に見舞われたが、午後は天候が回復。蒸し暑さが残る中、キャッセンエリアなどでは多彩な出店の中で家族連れらが来場し、にぎわいが生まれた。
夕方前後には、みなと公園など海沿いをゆっくりと巡り、潮風を浴びながらのんびりと過ごす人の姿も目立った。茶屋前岸壁北側では、県大船渡土木センターと連携した公共空間利活用事業の一環で、テーブルやいすを置くなど、座って観賞できるスペースを整え、無料で開放した。
同岸壁に係留された大船渡丸の特設ステージでは午後3時30分から、大船渡東高校太鼓部が「オープニング太鼓」を披露。実行委役員や来賓による開催宣言も行われた。
明和保育園児、地元出身歌手らも出演し、かわいらしい姿や伸びやかな歌声で岸壁に訪れた人々を魅了した。
まつり初日の1日夕は、海上七夕船の湾内巡航パレードに加え、寄港岸壁ではステージイベントが繰り広げられた。初出演となる「天道虫の会」が躍動感あふれる太鼓演奏で活気を呼び込み、XUXU、濱守栄子さん、鎌田和昭さん、大沢桃子さんが歌声を響かせたほか、来場者に向けて「招福餅」の振る舞いも行われた。
台風9号北上の影響で降雨の時間帯もあったが、岸壁には多くの住民が詰めかけた。猛暑続きで渇水が懸念されているとあって「恵みの雨」といった声も聞かれ、海上七夕船からの照明が濡れた岸壁に反射する幻想的な光景も楽しんでいた。