仮置場の運用が本格化 大船渡市大規模林野火災に伴う公費解体 被災地の一部では倉庫など再建可能に

▲ 永浜・山口工業用地内の県有地に整備した仮置場の活用が本格化

 大船渡市大規模林野火災で被災した建物の「公費解体」に伴い、市が赤崎町の永浜・山口工業用地内の県有地に整備した仮置場の運用が、今月から本格化している。作業しやすいまとまったスペースを確保することで、さらなる効率化を図る。解体作業は三陸町綾里の港地域と赤崎町の外口地域で進み、漁業用倉庫の再建を予定している他地域では、一部再建が可能な状態な区画も出てきている。(佐藤 壮)

 

 仮置場は永浜・山口工業用地内の大船渡湾側に位置する県有地の3600平方㍍を確保。先月、敷地に鉄板や遮水シートの敷設、周囲柵の設置、飛散防止や騒音・振動対策を進めた。
 体制が整った先月末は津波警報・注意報の影響で運用を見合わせたが、今月1日には、車両2台分の搬入が行われた。各住宅解体現場から出た混合廃棄物が中心で5、6㌧程度。混合廃棄物は、奥州市内の処分先に運び入れることにしている。
 現場では、可能な限りリサイクルするため、がれきをはじめとした混合廃棄物のほか、木くずや金属くず、処理困難物などに分ける。種別ごとに県内6カ所の処分先に搬送。基礎部分などの撤去によるコンクリートがらやアスベストを含有する災害廃棄物は、被災現場から直接処分先に搬送することにしている。
 綾里や赤崎町外口方面から来るトラックのうち、おおむね10㌧以上の大型車両は、蛸ノ浦地区側の主要地方道大船渡綾里三陸線から東朋中学校付近を経由して搬入する。中型車両は、赤崎町永浜地内の取り付け道路(海側)を経由して運び込む。
 当面は1日5台程度で、現場の作業状況を踏まえて台数は増減する。仮置場の運営は、盛岡市の一般社団法人県産業資源循環協会に委託する。
 公費解体は、5月30日から赤崎町の外口地域と綾里の港地域に作業班が入り、焼け残った部材の撤去などを進めてきた。被災現場が点在し、狭い土地での分別作業は難しく、仮置場の運用によって、作業効率の向上が期待される。
 現場作業は申請受け付け順ではなく、周辺環境への影響や作業条件等を考慮して実施。家財道具や家電のうち、災害で損傷するなどして不要なものとして処分せざるを得ないものは、公費解体と合わせて市が撤去・処分する。被災して機能しない浄化槽・便槽も被災家屋等と一体的に解体・撤去する。
 公費解体の申請棟数は6月末現在で215棟。全壊169棟と全壊以外4棟に加え、「り災届出証明書」で全壊等と判断される外便所や物置といった課税対象外の建物は42棟となっている。先月には所有者と連絡がつくなどして、わずかだが新たな申請もあったという。
 先行的に着手した港と外口地域に加え、先月からは綾里の小路、打越、野々前の各地域のうち、解体後に土地所有者が漁業用倉庫の再建を計画している区画にも着手。区画によっては撤去が進み、所有者との立ち会い確認を終え、倉庫などの再建が可能な状態になっている。
 現在の解体作業は4班体制だが、今後は現場作業班を増やし、さらにスピードアップを図る方針。年内には全ての撤去作業完了を見据える。
 市市民環境課の新沼優課長は「仮置場の搬入では、大型車両も走行するので、ご協力をお願いしたい。被災者の早期の生活再建やなりわい再生につながるよう取り組む」としている。