水道料金改定へ検討開始 審議会で素案示す 10年度と15年度に値上げ

 陸前高田市水道事業審議会(安田留美会長、委員15人)は5日、市役所で開かれ、市事務局が水道料金改定を含む市水道事業経営戦略の素案を示した。現行の料金体系を維持すれば、令和12年度に事業収支が赤字に転落し、資金は17年度時点で現状の3分の1程度に減る見通しであることから、10年度と15年度の2段階に分けて値上げする方向で検討していく。素案によると、20立方㍍使用する場合の月額料金(一般用)は現行の4125円から2度の引き上げ後、最終的に5060円となる見通しで、年度内に経営戦略を固める。(高橋 信)

 現行の水道料金は5立方㍍までの基本料金(一般用)が月額1300円で、それ以上使用した場合は超過料金として1立方㍍当たり150円が加算される。
 素案によると、10年度に基本料金を現行比200円増の1500円、超過料金を1立方㍍当たり同30円増の180円にする考え。15年度には基本料金をさらに200円引き上げ、超過料金を据え置くこととしている。
 現行からの最終的な値上げ額は、基本料金が400円、超過料金が1立方㍍当たり30円。20立方㍍使用の家庭で換算すると、基本料金と超過金額を合わせて月間935円、年間1万1220円の負担増となる。
 現行の水道事業経営戦略の計画期間は、3~12年度の10年間。有収水量、給水収益は人口減などを背景に右肩下がりで、将来予測のシミュレーションでは料金改定を行わない場合、12年度に予算ベースで886万円の純損失を計上し、以降、赤字額が増加していく見通し。7年度時点で6億4606万円ある事業の現金預金は、17年度時点で2億857万円まで減少すると推計されている。
 こうした予測を踏まえ、市は経営戦略の基本方針を見直し、料金改定に踏み切り、経常収支比率と料金回収率の向上を図ることとした。10年度には水道事業を含む公営企業会計全体で市一般会計からの基準外繰入金を5年度対比で20%減らす目標を立てている。
 同日の審議会では、委員から「低所得者の人たちが大変になるような形では良くないと思う」「将来予測を見ると、値上げの計画は仕方がないことと思う」などの声が聞かれた。
 市事務局は「(料金改定で)市民生活が苦しめられないように、できるだけ最低限の料金設定で考えている」と回答した。
 このほか、同日は6年度の水道事業決算案について協議。
 収益的収入は5億5204万円で、前年度比4・5%減。収益的支出は5億2308万円で、同0・6%増。収入から支出を差し引いた純利益は2896万円を見込む。
 次回の審議会は10月上旬を予定し、水道事業経営戦略の素案に対するパブリックコメント(意見公募)に先立ち、同案の中身を審議する。
 経営戦略案に盛り込まれた料金改定案は別掲。